運賃という対価の支払いによって、乗客や貨物の輸送を利用者にかわって行う交通機関のこと。自家用運送と区別され、コモン・キャリアcommon carrierともよばれる。一般に、バス、タクシー、鉄道、旅客船、内航・外航海運(一部)、航空(一部)などをさす。自家用自動車、レンタカー、自転車などの交通機関は公共交通機関に含まれない。また自らが使用する原材料を、自ら保有する運搬具(船舶など)で輸送する行為(インダストリアル・キャリア)や、航空のプライベート・ジェットなども公共交通機関には含まれない。一方、貸切バスなどは不特定多数の乗客を運行ダイヤに従って随時乗降車させるものではないために、一般の印象と異なる点はあるものの、公共交通機関の範疇(はんちゅう)に含めるのが普通である。鉄道や航空におけるチャーター輸送も同様である。
公共交通機関とは同義ではないが、イギリスにおいて慣習的に形成されてきた公共運送人の義務は、公共交通機関の特徴を表すものとなっている。公共運送人は、(1)運送引受け義務、(2)安全輸送の義務、(3)不当な差別的取り扱いの禁止、(4)公正妥当な運賃の設定、という義務を負う。ただ、これらの義務は交通における技術革新や社会環境の変化によって、その解釈が従前とは異なることがある。
公共交通機関は公共運送人としての役割を果たさなくてはならないために、厳しい環境に置かれることが多い。たとえば、赤字の路線であっても即座にサービスの提供を取りやめることはできない。自家用車の普及によって公共交通機関の経営が厳しくなっている問題は、この代表的なものである。また、赤字を減らすために運賃を引き上げる必要があったとしても、政府による規制がある場合には、それが公正妥当なものであるかどうかなどをチェックされることがある。さらに公共交通機関の運賃値上げは社会的な影響が大きい。赤字路線を抱えた公共交通機関が、沿線の値上げ反対運動などもあって、容易に運賃を引き上げることができないという問題は、この代表的なものである。
[竹内健蔵]
『斎藤峻彦著『交通市場政策の構造』(1991・中央経済社)』▽『正司健一著『都市公共交通政策――民間供給と公的規制』(2001・千倉書房)』
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