内閣府設置法(平成11年法律第89号)によって内閣に置かれる行政機関。2001年(平成13)1月の中央省庁再編において、内閣機能強化の観点から、内閣総理大臣を長とする機関として、総理府、経済企画庁、沖縄開発庁、国土庁防災局(国土庁の他の部局は国土交通省へ)を統合して、内閣に設置された。
内閣府の任務は、まず、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けること(内閣府設置法3条1項)である。この任務は、内閣官房の任務でもあることから、内閣府は、内閣官房を助ける立場にあることも明確にされている(同法3条3項)。この「内閣を助ける機関」としての任務のほか、内閣府は、内閣の統轄の下に置かれる行政機関として、内閣総理大臣を主任の大臣として行政事務を分担管理する任務をもつ。
具体的には、皇室、栄典および公式制度に関する事務その他の国として行うべき事務の適切な遂行、男女共同参画社会の形成の促進、消費生活および市民活動に関係する施策を中心とした国民生活の安定および向上、沖縄の振興および開発、北方領土問題の解決の促進、災害からの国民の保護、国の治安の確保、金融の適切な機能の確保、政府の施策の実施を支援するための基盤の整備ならびに経済その他の広範な分野に関係する施策に関する政府全体の見地からの関係行政機関の連携の確保を図るとともに、内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい行政事務の円滑な遂行を図ることである(同法3条2項)。
内閣を助ける機能という観点で、内閣府には、さまざまな機関が設けられる。内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関して行政各部の施策の統一(総合調整)を図るために、とくに必要がある場合に、内閣府に、内閣総理大臣を助け、内閣総理大臣の命令によって法定の事務を掌理する「特命担当大臣」を置くことができる。たとえば、金融の円滑化を図るための環境の総合的な整備に関する事務については、金融庁に特命担当大臣が置かれる。また、内閣および内閣総理大臣を助ける「知恵の場」としての機能を果たす重要政策に関する会議として、経済財政諮問会議、総合科学技術・イノベーション会議、中央防災会議、男女共同参画会議が置かれる。これらは、内閣総理大臣または内閣官房長官を議長として、内閣総理大臣が任命する有識者から構成される。たとえば、経済財政諮問会議は、内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項について調査審議を行い、経済財政政策担当大臣に意見を述べることができる。内閣機能の強化を示す一例である。
内閣府には、内部部局として、大臣官房、賞勲局、男女共同参画局、沖縄振興局、独立公文書管理監が置かれる。中央省庁再編前には総理府に属していた宮内庁、国会公安委員会など各委員会がある。防衛庁、防衛施設庁、金融庁は、内閣府の外局等に移行したが、2007年(平成19)1月、防衛庁は省に昇格、防衛施設庁は防衛省に属す機関として、それぞれ内閣府の外局から外れた。2019年の時点で外局等として、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会、個人情報保護委員会、金融庁および消費者庁が置かれている。地方支分部局として、沖縄総合事務局が置かれる。内閣府に置かれる審議会等には、選挙制度審議会、原子力委員会、地方制度調査会、食品安全委員会等がある。施設等機関として、迎賓館、経済社会総合研究所がある。
[平田和一]
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(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2007年)
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