出先機関(または地方出先機関)とは,広義では,国または地方公共団体その他の機関が,その所掌事務の一部を地域的に分掌させるために地方に設置する機関を総称するものであるが,狭義では,国の出先機関=国家行政組織法上,府省,委員会および庁に設置することができる〈地方支分部局〉をいう(9条)。地方支分部局の例としては,法務省の法務局,地方法務局,大蔵省の財務局,税関,国税庁の国税局,税務署などがある。この制度は,行政権限上の分権(または分散)主義に基づき,技術的見地から国の統一的行政の地方への徹底やその迅速・適切な処理などを目的とするものであるが,地方自治と密接な関連をもつ場合が多いことから,その設置などを法律事項とし(9条),かつ,原則として国会の承認を経なければならない(地方自治法156条6項)などとされている。しかし,現実には,本省との間での二重行政や二重監督,地方公共団体との間での重複行政,地域住民の意思の反映など民主性の欠如,縦割行政による行政の総合性の欠如などの問題点をかかえており,その原則的廃止または縮小と府県への事務・事業の移譲などの改革が求められている。なお,地方公共団体の出先機関には,総合出先機関としての都道府県の支庁や地方事務所,市町村の支所や出張所,特別出先機関としての保健所や警察署などがあるが(地方自治法155,156条,252条の20),その性格は地方支分部局と同じである。
執筆者:間田 穆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
広義では、内閣府や省(外局を含む)、地方公共団体がその所掌事務の一部を地域的に分掌させるために地方に設置する機関の総称である。狭義では、国の出先機関、すなわち、内閣府や省(外局を含む)が、その所掌事務を分掌させる必要がある場合に、法律の定めるところにより設置する国の地方行政機関としての地方支分部局をいう(内閣府設置法43条2項・57条、国家行政組織法9条)。地方支分部局の例として、警察庁の下における管区警察局、法務省の下における法務局およびその下の地方法務局、財務省の下における財務局およびその下の財務事務所、税関などがある。地方支分部局の所掌事務の多くは、地方公共団体の自治事務と密接な関係を有するところから、いわゆる地方自治の本旨が侵されることのないようにとの配慮がなされ、地方支分部局の設置は法律事項であり、いわゆる駐在機関も含めて国の地方行政機関は、国会の承認を経なければこれを設けることはできない(地方自治法156条4項)。
[平田和一]
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