15歳(義務教育終了年齢)以上の人口を生産年齢人口と呼ぶが,このうち労働の意思と能力をもっている人口を労働力人口という。したがって労働力人口は,意思と能力をもち実際に労働に従事している就業者と,意思と能力をもちながらなんらかの事情により就業できずにいる完全失業者の二つに分けられる(〈失業人口〉〈就業人口〉の項参照)。労働力人口を把握する方法,調査としては,労働力調査(毎月),国勢調査(5年に1度)のように調査期間中における状態でとらえようとする労働力方式あるいは現在方式(アクチュアル方式ともいう)と,就業構造基本調査(3年に1度)のように調査時点を離れて平常の状態でとらえようとする有業者方式あるいは平常方式(ユージュアル方式)の二つがある。この二つの方法は短期的な変化をも確認するのか,平常の活動状態をみようとするのかなど統計を利用する目的との関係でそれぞれ長所・短所があり,労働力人口の数値も異なるから,注意を要する。日本の労働力人口は最近大きな変化を示しているが,その最も重要な傾向が高齢化である。1963年には総労働力人口(4652万人)のうち14.5%であった55歳以上層の比率が83年には5889万人中の1021万人,17.3%となっており,2000年には23%に達すると見込まれている。高齢化と並んで重要な変化に女子労働力人口の増大があるが,こうした労働力人口の変化は今後の日本社会に大きな影響をもたらすものと思われる。
執筆者:亀山 直幸
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(小川直宏 日本大学教授 / 2008年)
(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2008年)
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15歳以上の人口から、通学者、家事従事者、病弱者、高齢などで生産活動に従事しないなどの非労働力人口を差し引いた人口。いいかえれば、働く意思と能力をもつ人口のこと、また、就業者と完全失業者とをあわせたものでもある。
15歳以上の人口に占める労働力人口の比率を労働力率(日本の2021年平均62.1%)といい、それは所得水準、人口年齢構成(高齢化など)、進学率、社会保障制度(厚生年金など)、女性の社会進出の度合いなどに左右される。また、労働力人口に対する失業者の比率が失業率(2021年平均2.8%)である。これらの統計は、国勢調査および労働力調査(総務省)が提供する。
[一杉哲也・羽田 亨 2022年6月22日]
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…この労働力調査によれば〈完全失業者〉とは,(1)仕事がなくて,調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち,(2)就業が可能でこれを希望し,(3)かつ仕事を探していた者,および仕事があればすぐに就ける状態で過去に行った求職活動の結果を待っている者,と定義されている。簡単にいえば,収入を伴う仕事をしていれば就業者,仕事がなく,これを探していれば失業者,仕事もせず,探してもいなければ非労働力人口として分類される。そして就業者と失業者が生産年齢人口(日本の場合は義務教育を修了した15歳以上人口)のなかで労働力人口を構成している。…
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