北陸電力(読み)ほくりくでんりょく

百科事典マイペディア 「北陸電力」の意味・わかりやすい解説

北陸電力[株]【ほくりくでんりょく】

1951年電力再編で北陸配電と,日本発送電,中部配電(各一部)の事業を継承して設立。9電力会社の一つ。供給区域は富山,石川,福井大部分,岐阜の一部。水力火力,原子力,風力,太陽光など計142の発電所をもつが(2015年5月),豊富な水力地帯にあるため水力発電比重が大で原油依存度は9電力中最低。原子力発電は,石川県志賀町の志賀原発(1号機,1993年運転開始,沸騰型軽水炉,2号機,2006年運転開始,改良型沸騰水型軽水炉)。2015年5月現在,全機定期点検中で稼働していない。2012年4月,原子力・安全保安院は,専門家の指摘を受け志賀原発周辺の活断層の再確認を北陸電力に求めた。2013年7月に施行された原子力規制委員会の新規制基準では,過酷事故,地震・津波,火災などへの対策を大幅に強化するよう要求しており,ほとんどが実施と同時の適用を求めている。とくに沸騰型軽水炉についてはフィルター付きベント(排気)設備の設置がなければ再稼働は認めない基準である。また真下に活断層がある場合は原発そのものの建設を禁止することになっている。志賀原発1号機はこれに該当すると見られ,原子力規制委員会は調査する方針を発表。原子力規制委員会は2014年2月に現地調査を行い,3月有識者会合を開催,有識者は1号機原子炉建屋の直下を走るS-1断層は活断層の可能性を否定できないとし,さらに1,2号機タービン建屋直下に南北に走るS-6断層も活断層の疑いがある,と指摘した。原子力規制委員会はこれを受けさらに追加資料の提出を求めた。北陸電力は8月,志賀原発2号機の再稼働に向け,新規制基準での審査を原子力規制委員会に申請した。原発をもつ全ての電力会社が申請したことになるが,活断層がある可能性についての指摘には答えておらず,先行きは見通せない状況である。北陸電力は志賀原発を再稼働できない状況が続き,2014年度の供給計画でも供給力を3年連続で〈未定〉としているが,早期再稼働に全力を挙げると強調している。2010年度販売電力量は295億kWh。本社富山。2011年資本金1176億円,2011年3月期売上高4941億円。売上構成(%)は,電気97,その他3。→電気事業
→関連項目敦賀原発

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「北陸電力」の意味・わかりやすい解説

北陸電力(株)
ほくりくでんりょく

民間電力会社。供給区域は北陸3県の大半と岐阜県の一部で、1951年(昭和26)電気事業再編成の一環として旧北陸配電の供給区域を継承して設立された。前身の北陸配電についても、北陸電力についても、北陸地方独自の電気事業者は不必要であるとの意見が中央では有力であったが、北陸3県の電気事業経営者と電力需要家の一致協力した設立運動が功を奏し、北陸配電ないし北陸電力の発足が実現した。この需要家との強い結びつきは、今日にいたる北陸電力の経営上の大きな特徴である。当初は電源構成に占める水力発電のウェイトが大きかったが、その後火力開発に力を入れ、発電電力量では1973年度に、発電設備出力では74年度に、火力が水力を上回る火主水従化を実現した。1957年の北陸電力および東北電力の電気料金値上げを契機にして、電気事業再編成が生み出した9電力体制を変更しようとする「電気事業再々編成」の動きが生じたが、結局、翌1958年の電力広域運営(電力会社どうしが広い地域で電力を融通しあうことによって電力需給を安定させること)の開始によって問題は解決し、9電力体制は維持された。1990年代に入ると北陸電力は、海外炭火力開発と原子力開発に力を入れ、1993年(平成5)には、石川県羽咋(はくい)郡志賀(しか)町で、原子力発電所の運転を開始した。資本金1176億円(2008)、売上高4660億円(2008)。販売電力量293億キロワット時(2007年度)。七尾大田(ななおおおた)火力、敦賀(つるが)火力、志賀原子力など多数の発電所をもつ。

[橘川武郎]

『北陸地方電気事業百年史編纂委員会編『北陸地方電気事業百年史』(1998・北陸電力株式会社)』『北陸電力株式会社編・刊『北陸電力50年史』(2001)』『橘川武郎著『日本電力業発展のダイナミズム』(2004・名古屋大学出版会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北陸電力」の意味・わかりやすい解説

北陸電力
ほくりくでんりょく

電力会社。1951年電気事業再編成令により北陸配電と日本発送電の共同出資で設立。電力供給区域は富山県と石川県,福井県と岐阜県の一部。発足当時は独立採算制のもと発送配電の一貫運営による公共利益の増進にあった。1956年着工の常願寺川有峰発電計画は大容量貯水池式発電所となって完成。1964年には火力発電所が稼働し,火水併用体制を整えた。また 1993年には志賀原子力発電所が稼働した。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「北陸電力」の解説

北陸電力

正式社名「北陸電力株式会社」。通称「陸電りくでん」。英文社名「Hokuriku Electric Power Company」。電気・ガス業。昭和26年(1951)設立。本社は富山市牛島町。電力会社。供給区域は富山・石川県と福井県敦賀市以北、岐阜県の一部。東京証券取引所第1部上場。証券コード9505。

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