合計特殊出生率(読み)ゴウケイトクシュシュッショウリツ(その他表記)total fertility rate

デジタル大辞泉 「合計特殊出生率」の意味・読み・例文・類語

ごうけい‐とくしゅしゅっしょうりつ〔ガフケイトクシユシユツシヤウリツ〕【合計特殊出生率】

15歳から49歳の女性の、年齢別出生率を合計した指標。一人の女性が平均して一生の間に何人の子供を産むかを表す。合計出生率TFRtotal fertility rate)。
[補説]平成28年(2016)の日本の合計特殊出生率は1.44。これは、人口の維持に必要な人口置換水準(約2.07)を下回り、少子化が進行していることを表す(数値は国立社会保障・人口問題研究所)。

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共同通信ニュース用語解説 「合計特殊出生率」の解説

合計特殊出生率

1人の女性が生涯に産む子どもの数を推定した人数。15~49歳の女性の年齢別出生率を合計する。戦後の第1次ベビーブームが起きた1947年には4・54だったが、75年に2を割り込んだ。政府は90年代から少子化対策に取り組んでいるが、低下歯止めがかかっていない。安倍政権では、若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1・8」を目標に掲げたことがある。

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知恵蔵 「合計特殊出生率」の解説

合計特殊出生率(2007年)

2008年9月3日、厚生労働省は07年の合計特殊出生率(期間合計特殊出生率)を1.34で確定した。期間合計特殊出生率とは、ある期間に15~49歳の女性それぞれの年齢別出生率を合計したもので、いわば、その年の出生率。
07年は、過去最低の1.26を記録した05年から大幅に回復した前年の1.32を0.02ポイント上回っており、2年連続の上昇となった。
この上昇は、前年度に引き続き団塊ジュニア世代の「駆け込み出産」とも言われる35歳以上の年齢層での出生数の増加によるところが大きい。
ただし、06年には上昇に転じていた20歳代が再び低下しているほか、出生順位別出生数では、第1子、第2子で減少が見られる。
06年に合計特殊出生率が大幅な回復を見たのは、02年以降ゆるやかに回復してきた景気がようやく家計に反映されたことが大きい。対して07年は、景気の停滞あるいは悪化の様相をみせており、合計特殊出生率はかろうじて上昇しているものの、出生数は前年比99.7%の108万9818人に留まった(出生数は、期間合計特殊出生率のほか、15~49歳の女性人口や年齢構成の違いの動向にも左右されるので、両者の動向は必ずしも一致するとは限らない)。また、出生数の動向に大きく影響する婚姻件数も前年比98.5%の71万9822人となった。
しかし、「出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所実施)」によれば、未婚者の9割はいずれ結婚したいと考えている。また、「出生等に対する希望を反映した人口試算(厚生労働省実施)」によれば、結婚や出生行動に対する希望が一定程度実現した場合を想定すると、2040年の合計特殊出生率は1.75まで上昇するという。政府はこれらを踏まえ、07年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定した。自治体でも同年より、ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組む企業を表彰するなど具体的な対策に乗り出している。「合計特殊出生率1.5をめぐる議論」にもみられるように、合計特殊出生率をめぐる危機意識は世界共通のものとなっており、その回復には、結婚や出産行動に対するさらなる官民一体の取り組みが待たれるところである。

(坂井映子 フリー・ライター / 2008年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「合計特殊出生率」の意味・わかりやすい解説

合計特殊出生率
ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ
total fertility rate

1人の女性が生涯に産むことが見込まれる子供の数を示す指標。年齢ごとに区分された女子人口に対する出生数の比率を年齢別出生率といい,合計特殊出生率は 15~49歳の年齢別出生率の合計である。出生率としては,人口 1000人あたりの 1年間の出生数の割合である普通出生率(粗出生率)なども使用されるが,普通出生率は性別や年齢のかたよりなど人口構成の影響を受けるため,再生産年齢人口(出産可能な年齢の人口。一般に 15~49歳とされる)の実質的な出生力をはかる指標として合計特殊出生率が用いられる。1年間の出生状況に基づいて算出される期間合計特殊出生率が用いられることが多く,これは年による比較,国や地域による比較などに利用される。また,コーホート(特定の世代の集団)の出生状況に着目し,その世代の 15~49歳の出生率を過去から累積して算出するコーホート合計特殊出生率も使われる。人口が長期的に増減しない出生の水準を人口置換水準と呼び,合計特殊出生率で表す人口置換水準は 2013年現在 2.07である。日本の合計特殊出生率は,第1次ベビーブームが起こった 1947年に 4.54を記録したが,その後減少を続け,1956年に 2.22となり初めて人口置換水準を下回った。丙午にあたる 1966年には 1.58に下落したが,翌 1967年には 2.23に回復。第2次ベビーブームの 1972,1973年頃までは横ばいだったが,その後は漸減して 2005年には 1.26まで低下。2006年から微増に転じ,2014年は 1.42。

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百科事典マイペディア 「合計特殊出生率」の意味・わかりやすい解説

合計特殊出生率【ごうけいとくしゅしゅっせいりつ】

1人の女性が生涯に産む子供の数を示す。合計特殊出生率が2であれば,夫婦2人から子どもが2人ということで,世代の人口がほぼ維持されることになる。日本では,第1次ベビーブーム(1947〜1949年)までは4を超えていたが,その後急速に低下をたどり,1970年代に2.0以下となり,年々最低記録を更新しつづけ,1993年には1.46となり,1998年1.38,そして2004年には1.29となった。2006年には1.26にまで落ち込むが2012年には1.41まで回復した。しかし今後は適齢期の女性の数が減っていくため少子化傾向にあり実効性のある子育て支援が求められる。一方で人口高齢化が進行しており,相対的な比率の低下した生産年齢人口(15〜64歳)が高齢者を社会的に支える必要があり,大きな課題となっている。→人口
→関連項目出生率純再生産率少子化

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「合計特殊出生率」の意味・わかりやすい解説

合計特殊出生率
ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ

出生率

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世界大百科事典(旧版)内の合計特殊出生率の言及

【人口】より

… 先進諸国の出生率の動向と水準には,かなり著しい差異がみとめられるが,基本的な特徴は歴史上かつてない低水準を達成しているということである。そのような傾向を,より正確に人口の再生産をあらわす合計特殊出生率total fertility rate(1人の女子が生涯に産む平均子ども数),総再生産率gross reproduction rate(1人の女子が生涯に産む平均女児数),純再生産率net reproduction rate(総再生産率から,死亡する女児を差し引いたもの)によって考察してみよう。 女子1人当り(あるいは夫婦当り)の平均出生子ども数をあらわす合計特殊出生率が2である場合は,夫婦2人から子ども2人ということで世代がほぼ維持されることになる。…

※「合計特殊出生率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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