国際線を運航する航空会社や旅行代理店でつくる業界団体。略称はイアタ。カナダのモントリオールとスイスのジュネーブに本部機能がある。290の航空会社が加盟し、総運航量の82%を占めるとされる。1919年に前身の組織が設立され、45年に現行組織に衣替えした。航空運賃や発券のルールなどを決めるのが主な役割。近年は独自に運賃を決める格安航空会社(LCC)の台頭などで存在意義を巡る議論もある。(ニューヨーク共同)
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略称、IATA(イアタ)。世界の航空運送業者が任意の形で組織した国際団体で、世界各国民の福祉のための安全、確実かつ経済的な航空運送の発達推進などを目的としている。前身は1919年に設立されたが、第二次世界大戦のため活動が中止され、現在の組織は1945年4月、36か国の航空会社により設立されたもの。日本は日本航空が1954年(昭和29)2月に正会員となった。本部はカナダのモントリオールにあり、ジュネーブ、ニューヨークなどに事務所を設置している。加盟会員は250社(2014)。最高決議機関は総会であるが、活動は主として技術委員会、法務委員会、財務委員会、運送委員会を通じて行われる。IATAの活動のなかでもっとも注目されるのは運賃調整活動である。そのための運賃調整会議は、全世界にわたる運賃問題を審議する全体会議のほかに、世界を3地域に分けて審議し、さらに各区を細分化して、運賃協定のスムーズな実現に努めている。ただし、この会議で決定された運賃は、政府の認可を受けなければならない。
IATAを取り巻く状況はかならずしも平穏ではない。それは、IATAに加盟しない航空会社を中心とする低運賃競争の激化と、アメリカ政府のIATA活動への干渉である。これは、カーター政権(1977~1981)が航空における規制撤廃政策をとり、航空輸送の自由を大きく進めようとしたもので、とくにIATAの運賃調整活動に対して批判的な政策をとった。アメリカは、自国にとって企業の自由を大幅に認めることが有利であることから、IATAの設立当初からしばしば対立していた。
1990年代の航空規制緩和の動きのなかで、IATAの運賃の決定についての役割は後退したが、航空企業間の協力体制の維持、運賃の精算業務、航空券の電子化の統一など、運送サービスに関する各種の標準化につとめている。また、安全、安心な航空利用の確保も国際民間航空機関(ICAO(イカオ))などと協力して行っている。
一方、近年世界的に主要な航空会社が経営破綻、ないしは経営危機にみまわれているが、確実かつ経済的な航空運送を発展させ、健全な航空産業の推進のための役割が期待される。
[秋葉 明]
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…国際航空運送協会International Air Transport Associationの略称。国際的航空運送の秩序ある発展を目標に1945年に設立された民間団体。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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