基軸通貨(読み)きじくつうか(英語表記)key currency

翻訳|key currency

精選版 日本国語大辞典 「基軸通貨」の意味・読み・例文・類語

きじく‐つうか ‥ツウクヮ【基軸通貨】

〘名〙 世界的に流通する通貨うち最も重要な通貨。現在ではドル。キーカレンシー

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デジタル大辞泉 「基軸通貨」の意味・読み・例文・類語

きじく‐つうか〔キヂクツウクワ〕【基軸通貨】

国際間の決済などに広く用いられる通貨。一般的に米ドルをさすが、過去には英ポンドなどがその役を担った。キーカレンシー。→ブレトンウッズ協定

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改訂新版 世界大百科事典 「基軸通貨」の意味・わかりやすい解説

基軸通貨 (きじくつうか)
key currency

国際通貨制度において基軸となっている通貨をいう。基軸通貨はつぎのような機能を果たしている。(1)国際取引の決済に一般的に使用される。たとえば,輸入代金の支払いにあたって,取引相手がその通貨での支払いを拒否したりしない,というのでなければ基軸通貨にはなれない。通常,国際取引の決済にほぼ無条件に用いられる通貨を国際通貨international currencyという。(2)各国通貨の交換にあたって,価値基準として用いられる。そのため基準通貨basic currencyともいう。為替相場はその基軸通貨を基準に決められる。1973年までは,その基軸通貨の一単位は一定量の金goldであらわされていた。(3)一国の準備資産として用いられる。ほとんどすべての国は金・外貨準備をもつが,基軸通貨はその外貨準備として用いられる。そのため準備通貨reserve currencyともいう。今日,最も代表的な基軸通貨はいうまでもなく米ドルである。
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百科事典マイペディア 「基軸通貨」の意味・わかりやすい解説

基軸通貨【きじくつうか】

国際間の決済に広く用いられる通貨のこと。key currencyといい,国際通貨(international currency),基準通貨ともいう。また,各国は対外支払準備として金と並んで国際通貨を保有するので,準備通貨とも呼ばれる。基軸通貨の条件として,通貨価値安定高度に発達した為替市場および金融市場の存在,対外取引規制がないことなどが必要とされる。ドル地域やポンド地域の名残りから,米ドルポンドを指すことが多い。1995年の急激なドル安進行により,一部の国では自国の準備通貨におけるドルの比率を下げる動きがあり,ドルの相対的地位は徐々に低下している。21世紀にはドルに加えヨーロッパユーロ,東アジアの円が基軸通貨の役割を担う三極通貨体制が議論され,大蔵省は1999年9月に〈円の国際化推進委員会〉を発足させた。
→関連項目ニューヨーク金融市場ユーロ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「基軸通貨」の意味・わかりやすい解説

基軸通貨
きじくつうか
key currency

国際間の決済や金融取引などにおいて中核的機能を果たす国際通貨をとくに基軸通貨とよぶが、一般には国際通貨と同義に用いられることが多い。英ポンドは大英帝国の威信と経済力を背景に長い期間基軸通貨の地位を保ってきたが、第二次世界大戦後はこれにかわって米ドルがアメリカの政治経済上の絶対的優位を背景に基軸通貨となった。1971年の金交換停止により通貨価値の安定と国際的信認は以前ほどではなくなったが、現在でも米ドルの基軸通貨としての存在には変化はない。

[土屋六郎]

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知恵蔵 「基軸通貨」の解説

基軸通貨

一般に次の条件を兼ね備えた国際通貨を指す。(1)国際間の貿易・資本取引に広く使用される決済通貨であること、(2)各国通貨の価値基準となる基準通貨であること、(3)通貨当局が対外準備資産として保有する準備通貨であること。こうした基軸通貨としての機能を果たすには、(a)通貨価値の安定、(b)高度に発達した為替市場と金融・資本市場の存在、(c)対外取引規制がないこと、などが必要とされている。歴史的には、英ポンドや米ドルが基軸通貨と呼ばれてきた。第2次世界大戦後は、米国がIMF体制の下で各国中央銀行に対して米ドルの金兌換を約束したことや強大な経済力や軍事力を背景に、米ドルが名実共に基軸通貨となった。欧州単一通貨ユーロが将来的にドルと並ぶ基軸通貨に成長する可能性を持つが、現時点ではドルの基軸通貨としての地位は揺らいでいない。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「基軸通貨」の解説

基軸通貨

国際通貨の中で中心、支配的な役割を占め、為替や、国際金融取引で基準として採用されている通貨のこと。時代によって基軸通貨は変化するが、経済的に主導的な立場にある国家の貨幣であることが多い。1920年代まではイギリスのポンドが基軸通貨であった。しかし、アメリカの経済的な台頭に並行して徐々に米ドルの力が強まり、第2次世界大戦後は完全に米ドルが基軸通貨となり、現在に至っている。

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FX用語集 「基軸通貨」の解説

基軸通貨

基軸通貨として主に以下の3つの要件が挙げられます。1.国際間の貿易・資本取引に広く使用される決済通貨であること、2.各国通貨の価値基準となる基準通貨であること、3.通貨当局が対外準備資産として保有する準備通貨であること。現在は米ドルが基軸通貨とされています。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「基軸通貨」の意味・わかりやすい解説

基軸通貨
きじくつうか

国際通貨」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の基軸通貨の言及

【ドル】より

…このほか現在のような変動相場制のもとでは,ドルまたはドル資産(ドル建ての金融資産)は国際取引に従事する民間部門(企業,個人)に広く保有され,使用されている。このように国際取引を媒介する支配的通貨を基軸通貨と呼び,その通貨を発行する国を基軸通貨国という。それ以外の国は非基軸通貨国である。…

※「基軸通貨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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