外国為替市場(読み)ガイコクカワセシジョウ(その他表記)foreign exchange market

デジタル大辞泉 「外国為替市場」の意味・読み・例文・類語

がいこくかわせ‐しじょう〔グワイコクかはせシヂヤウ〕【外国為替市場】

外国為替取引の行われる市場。為替銀行為替仲立人中央銀行などによって構成される。インターバンク市場(銀行間取引)と、対顧客市場(銀行と、個人・一般企業などとの取引)に大別される。証券取引所金融商品取引所)のような取引所は存在せず、取引は電話回線・情報通信端末・インターネットなどを通じて行われる。

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共同通信ニュース用語解説 「外国為替市場」の解説

外国為替市場

円やドル、ユーロといった異なる通貨を売買(交換)する市場。株式と違って取引所はなく、銀行などの取引参加者がコンピューターを通じてやりとりする。24時間取引が続き、東京が夜になると、取引の中心は英ロンドン、米ニューヨークに移る。日本が祝日の場合でもアジア市場で取引されている。為替相場を安定させるため、各国当局が自国通貨や外貨を売り買いする市場介入を行うことがある。(共同)

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精選版 日本国語大辞典 「外国為替市場」の意味・読み・例文・類語

がいこくかわせ‐しじょうグヮイコクかはせシヂャウ【外国為替市場】

  1. 〘 名詞 〙 外国為替の取引が行なわれる市場。

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改訂新版 世界大百科事典 「外国為替市場」の意味・わかりやすい解説

外国為替市場 (がいこくかわせしじょう)
foreign exchange market

外国為替取引が行われる場の総称。外為市場と略称することもある。広義に解すれば外国為替銀行(為替銀行)の対顧客取引も含まれるが,一般にはより狭義に為替銀行間取引が行われる場を指す。為替銀行の顧客には,商品の輸出入を行う貿易業者を中心に,運賃,保険料,利子・配当金,海外旅行費用などの経常的経済取引や,対外証券投資対外直接投資,対外貸付け・借入れなど資本取引を行う者がある。外国貨幣の交換を行う両替商も為替銀行の顧客である。為替銀行は,こうした対顧客取引によって生じた外国為替の持高や資金の過不足を調整するため,相互に外国為替の売買を行う。この為替銀行間の取引を銀行間取引(インターバンク取引interbank transaction)といい,その市場を銀行間市場interbank marketという。銀行間市場における取引には,外国為替ブローカー経由で行われるものと,為替銀行が相互に直接取引を行う直(じき)取引とがあるが,後者は相互に満足する出合いが限られるため,外国為替ブローカー経由取引が圧倒的に多い。銀行間取引は,一地域の市場内にとどまらず,広く他の地域あるいは外国の市場においても本支店または外国の取引銀行を通じて活発に行われる。銀行間市場には,政府・中央銀行(通貨当局)も参加する。これは,特定の政策目的をもって為替相場に影響を与えるために行われ,この取引は市場介入(日本では〈平衡操作〉)と呼ばれる。

 銀行間取引を大別すると,直物取引,先物取引およびスワップ取引に分かれる。直物取引は,取引の対価の受渡しが原則として取引日の翌々営業日(2営業日目)に行われるものである。先物取引は,対価の受渡しが将来の特定日に行われる取引であるが,通常直物取引の受渡し日を基準にして1ヵ月とか6ヵ月とか月単位で区切った確定日を受渡し日とする(順月確定日渡し条件)。スワップ取引は,直物取引とその反対方向の先物取引,または受渡し日が異なる相互に反対方向の二つの先物取引を同時に同額,同一の相手方と行うものである。

 銀行間市場で成り立つ為替相場(市場相場market rate,あるいは銀行間相場=インターバンク・レートinterbank rate)は為替銀行の対顧客相場customer rate(顧客相場ともいう)の基準となるが,貿易業者などはこの対顧客相場をいわば与件としてさまざまな対外取引を行い,そこから生じた外国為替の需給が再び銀行間相場に反映される。銀行間市場は,当事者が毎日特定の場所に集合して外国為替の売買を行う取引所がある場合(ドイツ,イタリア,フランスなど)と,電話・テレックス・電子的媒体(コンピューター回線)で個々に行う取引を総合した抽象的な場を指す場合(ニューヨーク,ロンドン,東京など)に分かれる。取引所がある国々の銀行間市場でも,取引所取引以外の銀行間取引が活発に行われている。取引所取引で成立する為替相場は,通常為替銀行の小口の対顧客取引の基準相場となる。
東京外国為替市場
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知恵蔵 「外国為替市場」の解説

外国為替市場

異なった通貨(例えば円とドル)の売買を行う市場。(1)外国為替を取り扱う銀行、(2)政府あるいは中央銀行、(3)外国為替銀行の顧客が外国為替市場の参加者である。(1)、(2)が構成する狭義の外国為替市場をインターバンク(為替)市場と呼ぶ。インターバンク市場は、さらにブローカー(仲介者)を経由して行われるブローカー市場と、銀行間で直接取引を行う直接市場(ダイレクトマーケット)に分かれる。世界の3大外国為替市場としては、ロンドン、ニューヨーク、東京が挙げられるが、いずれも電話線その他の通信回線、コンピューターを通じて為替相場が建つオープンマーケットで、ブローカーや通信社のモニターシステムによって世界中に伝えられて取引が行われている。近年、一部の銀行で、店頭や電話以外にも、インターネットを通して顧客と外国為替取引を行うサービスを提供している。また、ブローカーも人手を介さない電子ブローキングが主流となっている。なお、日本では外国為替公認銀行以外が外国為替業務を営むことは長らく禁じられてきたが、1998年4月に施行された新外為法によりこれが解禁され、(3)の顧客が狭義・広義の外国為替市場に直接参加することが可能となった。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「外国為替市場」の意味・わかりやすい解説

外国為替市場【がいこくかわせしじょう】

外国為替取引が行われ為替相場の形成される場。為替銀行,為替ブローカー,引受け・割引業者,貿易商社等が市場を構成する。当事者が取引所で売買する組織的市場(ヨーロッパ大陸諸国等)と,電話等による当事者間の個別的取引を総合した抽象的な場である一般的市場(米,英,日本等)がある。各国の市場がテレックスやコンピューター等で結ばれ単一化に向かっている。
→関連項目為替ディーリング市場介入

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外国為替市場」の意味・わかりやすい解説

外国為替市場
がいこくかわせしじょう
foreign exchange market

外国為替取引が行われる国際市場。対顧客取引の場も広義の外国為替市場であるが,一般には銀行間取引の場をいう。銀行間取引市場には,当事者が毎日一定時刻に集合して為替の売買を行う為替取引所のような組織的市場と,当事者が通常電話で個々に行う取引を総合した抽象的な場にすぎない一般的市場とがある。前者にはフランクフルト,パリなどの大陸諸都市が,後者にはニューヨーク,ロンドンをはじめ日本の市場 (東京,大阪) がこれに属する。

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FX用語集 「外国為替市場」の解説

外国為替市場

為替取引は基本的に相対取引ですから、お客様と当社の間で取引が行なわれれば、それも一つの「外国為替市場」を形成していると言えます。市場参加者の種類により、銀行をはじめとする金融機関中心の市場を特にインターバンク市場と呼びます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外国為替市場」の意味・わかりやすい解説

外国為替市場
がいこくかわせしじょう

外国為替相場

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世界大百科事典(旧版)内の外国為替市場の言及

【国際金融市場】より

…世界各国の資金が集中し,そこで資金の調達・運用が行われるためには,長短期の金融市場と金融機関が存在し,世界の銀行の機能を果たしていなければならない。(3)外国為替市場の存在。通貨を自由に交換でき,外国送金,金利裁定為替ヘッジなどの便宜を提供する外国為替市場の存在は不可欠である。…

【東京外国為替市場】より

…外国為替市場を広義に解すると,銀行とその顧客との間の外国為替取引を含めて広く外国為替取引が行われる場を意味するが,通常はより狭義に,銀行間interbank為替取引が行われる市場を外国為替市場といい,東京外国為替市場という言葉もこのような意味で用いられる。日本においては,東京のほか大阪や名古屋でも銀行間為替取引が行われるが,そこでの取引は少ない。…

※「外国為替市場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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