大内版(読み)おおうちばん

精選版 日本国語大辞典 「大内版」の意味・読み・例文・類語

おおうち‐ばん おほうち‥【大内版】

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デジタル大辞泉 「大内版」の意味・読み・例文・類語

おおうち‐ばん〔おほうち‐〕【大内版】

室町時代周防すおう大内氏出版した古版本。山口版。大内本おおうちぼん

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改訂新版 世界大百科事典 「大内版」の意味・わかりやすい解説

大内版 (おおうちばん)

室町時代,中国地方の豪族大内氏が,とくに明国から用紙を輸入して印刷した書物。その居城にちなみ〈山口本〉ともいう。1539年(天文8)刊《聚分韻略しゆうぶんいんりやく)》はじめ,1482年(文明14)以降逐次刊行され天正年間(1573-92)に完成をみた《妙法蓮華経》などがあり,《法華経》28巻の版木は山口市の天台宗氷上山興隆寺に蔵したが,のち山口県文書館に移った。大内氏の開版事業は,応仁・文明の乱以後,難をその領内に避けた京都の公卿・学僧たちの来往と,大内氏の朝鮮および明国との通商貿易城主が文を愛し典籍の収集に熱心なことなど,幾多の好条件にめぐまれて発達したものである。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大内版」の解説

大内版
おおうちばん

山口本とも。室町時代,守護大名大内氏領内で出版された刊本。大内氏は,中国の明および朝鮮との貿易などを行って経済的繁栄を誇り,その城下山口には京都の文化人が多く集まり,文運が栄えた。1410年(応永17)大内盛見(もりみ)刊行の「蔵乗法数(ほっすう)」が現存最古のもの。93年(明応2)に虎関師錬(こかんしれん)の韻書「聚分韻略(しゅうぶんいんりゃく)」,99年に杉武道が「論語集解(しっかい)」を刊行。1539年(天文8)には大内義隆が天文版「聚分韻略」を出版したが,狭義の大内版はこれをさす場合もある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大内版」の解説

大内版
おおうちばん

室町時代,大内氏の領内で出版された書籍の総称
大内氏は代々文芸に意を用い,その城下山口には応仁の乱の難を避けて京都の公家・僧侶などの来住する者が多く,明・朝鮮との貿易により仏典・漢籍が多く輸入され,その復刻・出版も盛んに行われた。

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