改訂新版 世界大百科事典 「大日本印刷」の意味・わかりやすい解説
大日本印刷[株] (だいにほんいんさつ)
売上高において日本のみならず世界でも1位の印刷会社。1876年に創業した日本で最初の本格的印刷企業であった秀英舎(個人経営)がその前身。なお,1935年まで使われた秀英舎の社名は〈英国より秀でるように事業を伸ばせ〉という意味で勝海舟が名づけたものである。秀英舎は,明治の三大名著の一つといわれる中村正直の《西国立志編》の再版の際に《改正西国立志編》として,それまでの木版に代えて日本で初めて活版印刷を行った。新聞,雑誌などの活版印刷を中心に,明治,大正の両時代を通して発展したが,1928年には日本で初めて本格的グラビア印刷を開始するなど印刷技術の高度化も進めて,総合印刷会社になった。昭和初期の恐慌のなかで印刷業界も苦境に陥り,35年秀英舎は日清印刷と合併し,大日本印刷(株)と改称した。第2次大戦後は日本経済の発展とともに事業は急成長した。さらにまた印刷技術を基礎に包装,建材,プラスチック,電子精密部品などへ積極的に進出し,事業の多角化が進んでいる。資本金1145億円(2005年9月),売上高1兆4249億円(2005年3月期)。
執筆者:下田 雅昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報