大阪市(読み)オオサカシ

デジタル大辞泉 「大阪市」の意味・読み・例文・類語

おおさか‐し〔おほさか‐〕【大阪市】

大阪

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日本歴史地名大系 「大阪市」の解説

大阪市
おおさかし

面積:二一二・一〇平方キロ

府のほぼ中央部に位置し、北は西から兵庫県尼崎あまがさき市・豊中市・吹田すいた市・摂津市、東は北から守口もりぐち市・門真かどま市・大東だいとう市・東大阪市・八尾やお市、南は東から松原市・堺市に各々接し、西は大阪湾に面する。市域は江戸時代の大坂三郷を核に、東成ひがしなり郡・西成にしなり郡の全域と住吉郡の大部分(以上摂津国)茨田まんだ郡・渋川郡・丹北郡(河内国)の各一部からなる。地形は市域中央部を南北に走る上町うえまち台地と淀川・旧大和川が形成した沖積低地(三角洲平野)で構成され、低地は上町台地によって東部の淀川・河内低地と西部の大阪海岸低地に二分される。河川は多く、北縁を神崎川、北部を淀川が南西流し、淀川の分流大川、その末流である堂島どうじま川・土佐堀とさぼり川・安治あじ川・木津きづ川・尻無しりなし川が市中を流れていずれも大阪湾に注ぐ。また南縁を大和川が西流してこれも大阪湾に注ぐ。このほか北部を西流する寝屋川、東部を北流する平野川などがある。なお旧大坂三郷地域には数多くの堀川があり、「水の都」とよばれるにふさわしい景観を呈していたが、今はそのほとんどが埋立てられて、わずかに東横堀ひがしよこぼり川・道頓堀どうとんぼり川を残すにすぎない。

大阪の地名は、明応七年(一四九八)一一月二一日の蓮如の消息に「東成郡生玉之庄内大坂」とみえるのが現在のところ初見とされる。一六世紀に入ると用例は多くみられるようになるが、以下の例のように小坂・尾坂・おさかとも表記されている。すなわち「高野参詣日記」大永四年(一五二四)四月条に「おさか」、「後奈良院宸記」天文四年(一五三五)六月一三日条に「尾坂本願寺」、「厳助大僧正記」永禄四年(一五六一)三月二八日条に「小坂大法会」、同五年正月二三日条に「小坂本願寺」とみえる。大坂と書かれている例も含めいずれも石山いしやま本願寺(上町台地の北端近く、現東区の大阪城域ないしは同区法円坂一帯にあったとされる)の所在地ないしはその一帯を示す地名として用いられている。ルイス・フロイスの「日本史」にも多出するが一貫してVozacaと表記されているといわれ、ジョアン・ロドリゲスの「日本教会史」の表記も同様である。「吉利支丹物語(寛永一六年刊)には「大ざか」とある。以上からみて近世初期までの大坂は「おさか」ないしは「おざか」とよばれていたとみられるが、どちらが一般的であったかはわからない。いずれにせよ当初は石山本願寺の所在地一帯をさす地名であったが、その地に豊臣秀吉により城が築かれ、城下町が整備されていくにつれ、市街地全体をさす地名に変化していったようである。


大阪市
おおさかし

1989年2月13日:大阪市が行政区を再編、中央区・北区(新しい北区)を設置
【大阪市】大阪府:大阪市

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大阪市」の意味・わかりやすい解説

大阪〔市〕
おおさか

大阪府中部,大阪湾に臨む商工業都市。府庁所在地。1889年市制。同時に区制施行。1956年政令指定都市となる。その後行政区再編を重ね,都島区福島区此花区西区港区大正区天王寺区浪速区西淀川区東淀川区東成区生野区旭区城東区阿倍野区住吉区東住吉区西成区淀川区鶴見区住之江区平野区北区中央区の 24区を設置。市域は北部を貫流する淀川下流の低平な沖積地と,標高約 10~20mの上町台地からなる。古代の難波(なにわ。浪速,浪華とも書く)の地で,淀川河口の難波津は旧都飛鳥,奈良,京都の門戸で,大陸文化伝来の港として栄えた。また台地上には短期間ではあったが応神天皇仁徳天皇孝徳天皇聖武天皇の都が置かれた。これらの所在地は長い間明らかでなかったが,1954年以降の発掘調査により,中央区法円坂一帯であることが確認され,難波宮跡として 1964年国の史跡に指定,今日では公園となっている。中世は一時衰えたが 15世紀末,浄土真宗蓮如上人が石山別院(のち石山本願寺)を建立,その寺内町として復活。天正11(1583)年には豊臣秀吉が大坂城(→大阪城)を築城,その城下町となり,続いて江戸時代を通じて,商都大坂の基礎が築かれた。明治以降,近代工業が興り,一時は東京をしのぐ商工業都市となったが,第2次世界大戦後は西日本の中心都市の地位にとどまっている。中心部は伝統の船場島之内を中心とする商業地区で,工業は西部,北部,東部に発達。西部の臨海地区には重化学,北部の淀川流域には繊維,化学,東部の城東地区には機械器具,軽工業などが立地し発展が著しい。それに伴い大気汚染地盤沈下などの公害が問題となり,中心部の人口減少,問屋街,学校などの郊外移転傾向がみられる。その対策の一環として兵庫県神戸市の大阪湾湾岸地区を含め,大阪ベイエリアの開発が進められている。大坂城跡は国の特別史跡。東海道新幹線をはじめとする鉄道,道路が通り,市内中心部を環状線が囲み,多くの私鉄,地下鉄が近郊諸都市と結ぶ。1994年,関西国際空港が完成した。面積 225.32km2(境界未定)。人口 275万2412(2020)。

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