麻薬の一種である「大麻」を取り締まるため、1948年に制定された法律(昭和23年法律第124号)。第1条によれば、「大麻」とは「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」をいい、「ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」とされている。大麻取扱者(免許された大麻栽培者と大麻研究者)でなければ、大麻の所持・栽培・譲り受け・譲り渡し・研究のための使用は許されず、大麻取扱者であっても、許可された目的外の使用は禁止される(2条、3条)。また、これらに違反すると処罰されるが、とくに営利の目的でなされる場合にはより重く処罰される(これらの未遂や予備も処罰される)。大麻からとれるカンナビノール含有物は、ケシやコカ葉からとれる麻薬と同様に、麻酔の作用を有するとともに想像力や感覚を一時的に高める作用をもつ。また、大麻は、麻薬と同様に習慣性・依存性を有するが、いわゆる「禁断症状」は比較的少ない。アメリカでは1960年代に「ヒッピー族」とよばれる若者の間で流行したのをはじめ、日本でも、20歳代以下の青少年による違反者が多くの部分を占め、音楽家や芸能人などによる違反も後を絶たない。
[名和鐵郎]
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… この習慣がアフリカからヨーロッパに入ったのは,ナポレオンによるエジプト遠征ののち1810年ころ,アメリカに入ったのはその100年後,日本に入ったのは1960年代である。アメリカでの大麻喫煙は各州法に基づいて実質的解禁状態であるが,日本では大麻取締法により,大麻を売ったり,所有したり,使用したりすると5年以下の懲役となる。 大麻を喫煙すると,身体的には頻脈,目の充血,口やのどの渇きが起きる。…
… 一方,行政的,法律的には,薬理学的規定とは若干異なり,国際的には〈1961年の麻薬に関する単一条約〉に規定されている薬物をいい,上記の薬理学的麻薬のほか,コカイン,大麻およびその抽出成分が含まれる。日本では,麻薬取締法,あへん法によって規制されている薬物を狭義の麻薬とし,さらに大麻取締法によって規制された薬物を含めて,広義の麻薬としている。一般には,これら法的に定められたものが麻薬とされている。…
※「大麻取締法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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