富士通(読み)ふじつう

共同通信ニュース用語解説 「富士通」の解説

富士通

日本の大手電機メーカーの一つ。クラウドなど企業や官公庁向けの情報システム、個人向けのパソコンスマートフォンを手掛ける。富士電機製造(現富士電機ホールディングス)の電話部門が1935年に分離して、発足した。2015年9月中間連結決算の純損益は、パソコンの販売などで苦戦し、159億円の赤字に転落した。グループ全体の従業員は約16万人。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通(株)
ふじつう

コンピュータで世界上位の通信・情報機器メーカー。1935年(昭和10)富士電機製造(後の富士電機)の通信機部門が独立して富士通信機製造を設立。1937年に逓信(ていしん)省の搬送装置指定製造所となり、44年には真空管の製造に着手した。第二次世界大戦後は電話機、交換機の生産や搬送装置のトランジスタ化を進める一方、コンピュータや数値制御装置(NC)の分野に積極的に進出。まず1951年(昭和26)に研究を開始したリレー式コンピュータを54年に完成、1960年以降同分野へ投資を傾注し、65年にIC使用のFACOM(ファコム)230シリーズを発表、1970年代には日立と提携してMシリーズを開発した。この間、アメリカのアムダール社に資本参加しながら、IBM互換機路線を追求して国内のシェアを拡大した。また1956年に日本初の工作機械自動制御装置を完成して以来NC分野でも急成長、1972年に富士通ファナック(現ファナック)を設立、同社は現在世界第1位のNCメーカーの地位を占める。このほか、LSIジョセフソン素子、超高速半導体素子HEMTなどの先端素子の研究も活発。最近ではパーソナルコンピュータにも力を入れている。なお1967年から現社名。資本金3246億円(2008)、売上高2兆9791億円(2008)。国内工場は13、海外にも多数ある。

[中村清司]

『日本社史全集刊行会編『富士通社史』(1977・常盤書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通[株] (ふじつう)

日本を代表する世界的コンピューター・メーカー。古河電気工業ドイツのジーメンス社との提携により設立された富士電機製造(株)(1923設立。現,富士電機)の電話工場設備および通信機器関係の事業をすべて分離継承し,1935年に富士通信機製造(株)として設立された。急増する電話機需要および日華事変後の軍需の増加により相次いで新工場を建設した。

 第2次大戦後は戦災による施設の被害も軽微であったため民需生産にスムーズに移行し,操業を再開した。50年には新型電話機の量産体制に入り,通信分野においては58年に全電子式交換機の試作品を完成した。コンピューターについては,1951年よりリレー式コンピューターを製作し,58年にはパラメトロンを素子とするコンピューター〈FACOM〉の試作に成功した。翌59年にはパラメトロン式コンピューター1号機を完成した。61年には大型汎用コンピューターの開発に成功し,65年からFACOM230シリーズを発表し,この分野での本格的な事業活動が始まった。事業内容がコンピューターや電子部品等にも拡大してきたため,67年現社名に変更。大型汎用コンピューターの分野では日本のトップ・メーカーで,74年には超大型コンピューター,Mシリーズを発表している。パソコン分野での伸びも著しい。80年から日本語ワードプロセッサー(ワープロ)の発売を開始した。資本金3246億円(2005年9月),売上高4兆7628億円(2005年3月期)。
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百科事典マイペディア 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通[株]【ふじつう】

日本の電機メーカー。ハードウェア,情報システムを主力とする。コンピュータでは世界トップクラスの位置を保持してきた。通信と半導体でも大手。1935年に富士電機製造の電話工場設備および通信機関係の事業を分離継承し,富士通信機製造として設立。1951年よりリレー式コンピューターを製作,1961年には大型汎用コンピューターの開発に成功し,1965年からFACOM230シリーズを発表しこの分野での本格的な事業活動が始まった。1967年現社名に変更。海外戦略も積極的で米国のアムダール社,英国のICL社を傘下にもつ。最近ではオンライン銀行やネット証券会社を設立し,インターネット事業に力を入れるなど,ソフトウェア・サービス部門の拡充を図っている。2009年9月野副州旦社長の病気療養を理由に社長辞任,間塚道義会長が社長を兼務すると発表。野副前社長は,「社長の不適格性」を理由に解任されたと主張,2010年3月臨時取締役会で,前社長を相談役からも解任。解任理由を,「当社が関係を持つことはふさわしくないと判断した企業と関係を続けたため」と発表した。日本の世界企業でのトップ人事でこうした係争が公表されるのは珍しく,注目を集めた。2011年3月期売上高4兆5284億円。資本金3246億円(2011)。売上構成(%)は,テクノロジーソリューション65,ユビキタスソリューション22,デバイスソリューション12,その他1。海外売上比率35%。
→関連項目ジーメンス[会社]古河財閥

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「富士通」の意味・わかりやすい解説

富士通
ふじつう

コンピュータメーカー。富士電機製造(現富士電機)の交換機,電話機などの通信機器製造部門の業務を引き継ぎ,1935年に富士通信機製造設立。その後搬送装置,無線装置などにも進出して総合通信機器メーカーとして発展し,戦後電子工業に進出,1954年日本で初めてリレー式計算機を,1958年には日本初の数値制御装置を完成させた。1957年黒沢商店(現クロサワ)との共同出資で黒沢通信工業設立。1967年現社名に変更。1968年神戸工業を合併。1972年富士通ファナック(現ファナック),富士通テンを設立。1998年富士通東和エレクトロンを合併。コンピュータや日本で高いシェアを誇る数値制御装置などの情報処理機器のほか,電子部品,電話交換装置,無線伝送装置などを生産している。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「富士通」の解説

富士通

正式社名「富士通株式会社」。英文社名「FUJITSU LIMITED」。電気機器製造業。昭和10年(1935)「富士電機製造株式会社(現富士電機ホールディングス株式会社)」から分離独立し「富士通信機製造株式会社」設立。同42年(1967)現在の社名に変更。本社は東京都港区東新橋。コンピューター・通信機器メーカー。システム構築・運営受託も手がける。東京(第1部)・名古屋(第1部)・フランクフルト・ロンドン・スイスの各証券取引所上場。証券コード6702。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「富士通」の解説

富士通
ふじつう

コンピュータ・通信機器メーカー。1935年(昭和10)富士電気製造の電話機部門が分離独立,富士通信機製造として設立。第2次大戦前は逓信省指定メーカーとしてその基礎を確立した。戦後は通信網の発展とともに成長,他方エレクトロニクス時代にも対応し,54年コンピュータの製品化に成功,56年日本最初の工作機械自動制御装置を完成した。67年富士通と改称。イギリスのICLを買収し,世界的コンピュータメーカーとなった。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「富士通」の解説

富士通

コンピューターや電気通信機器などの製造・販売、インターネット事業を行う大手通信機器メーカー。1935年創業。1961年に汎用コンピューターを開発。1981年に、同社のパソコン第1号となるFM-8を発売。他に、ワープロ専用機OASYS(現在は、ワープロソフトの名称)が有名。現在、「FMV」シリーズをはじめとするパソコンを販売している。

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とっさの日本語便利帳 「富士通」の解説

富士通

前身「古河電気工業」の「ふ」+技術提携した「ジーメンス社」(ドイツ)の「じ」+富士山のイメージ=旧社名「富士通信機製造」

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内の富士通の言及

【コンピューター産業】より

…60‐61年ころになると,パラメトロンはトランジスターに比べ速度が遅く消費電力が大きいため,コンピューターの回路素子に用いられなくなり,回路素子の主流はトランジスターとなった。トランジスター式コンピューターは59年に東芝のTOSBAC2100型,日立製作所のHITAC301型,日本電気のNEAC2203型が開発され,60年沖電気工業のOKITAC5090型,61年富士通のFACOM222型が開発され,これらは証券会社や商事会社,生命保険会社などに納入された。なかでも1960年完成の日本最初のオンライン・リアルタイム・システムである国鉄の自動座席予約装置,MARS‐1は,最新のコンピューター利用法として評判が高かった。…

※「富士通」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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