宮城県大崎(おおさき)市岩出山(いわでやま)、江合(えあい)川中流域の丘陵上にある遺跡。後期旧石器時代もしくは縄文から古墳時代の遺跡とされる。この地域には更新世(洪積世)の火山灰層が、約2.5メートルの厚さで堆積(たいせき)し、多くの旧石器時代遺跡が所在する。1976年(昭和51)から1981年にかけ石器文化談話会が、3回の発掘調査を実施した。とくに1981年に行われた第三次調査では、3万年以上前に堆積した遺跡最下部の赤く風化した火山灰層から、尖頭器(せんとうき)(ポイント)、スクレーパー、楕円形(だえんけい)石器、チョッパー、チョピング・トゥールなどの石器が出土した。これらは当時、四万数千年前(前期旧石器時代)のものとされ、長年争われてきた日本の歴史の始源に関する前期旧石器時代の存否論争にひとまず終止符を打った。
しかし、2000年(平成12)、石器の発掘にかかわった東北旧石器文化研究所の元副理事長藤村新一が当該石器を自ら埋めたとの疑惑が発生。2002年日本考古学協会により再発掘調査が行われた。調査では1976~1981年調査時の発掘地点周囲の前・中期旧石器時代の地層を再発掘したが、新たな石器が見つからなかった。この結果、1981年の発掘はねつ造とされ、1976、1979年の発掘もねつ造の疑いが高いと発表した。遺跡自体については、再発掘調査で地表に近い地層から土器や石器が見つかったことから、後期旧石器時代(3万~1万年前)か、縄文から古墳時代と判断された。
[岡村道雄]
『石器文化談話会編・刊『座散乱木遺跡』(1983)』
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[先土器時代,縄文時代]
素掘りの浅いくぼみが先土器時代の遺跡から検出されることがある。宮城県座散乱木(ざさらぎ)遺跡のそれは,B.P.2万5000年ころの層から検出され,加工石片を伴っており,遺体を埋葬するために掘った穴,すなわち墓壙(ぼこう)と考えられている。しかしこうした遺跡からの人骨出土例はなく,まだその葬法については明らかではない。…
※「座散乱木遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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