大規模な原子炉事故や耐用年数経過などのため、解体などによって将来にわたって原子炉の運転を停止処分にすること。方法としては、(1)解体撤去(dismantling)、(2)密閉管理(mothballing)、(3)遮蔽(しゃへい)隔離(entombment)などがあるが、(2)→(1)、(3)→(1)などの組合せ方式も考えられる。敷地に限りがある日本などでは土地の再利用を考えた廃炉処分が必要とされるが、そのためには、廃炉処分のしやすさを考慮した原子炉の設計・施工、関連法規の整備、廃炉技術の開発、解体作業従事者や周辺環境への影響評価、資金調達などの諸問題が解決される必要がある。1986年(昭和61)12月から1996年(平成8)3月にかけて、廃炉技術の開発とその実証のため、日本原子力研究所(現、日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)の解体実地試験が行われた。また、1998年3月に運転を停止し、2001年(平成13)から解体を開始した日本原子力発電株式会社の東海1号炉(天然ウラン燃料・炭酸ガス冷却・黒鉛減速炉、電気出力16万6000キロワット)の廃炉費用は当初予想を大幅に超えて900億円超とされており、新型転換実証炉「ふげん」についても千数百億円との試算がある。廃炉費用としては、解体費用、解体に伴う廃棄物処分費用、施設撤去までの維持費、低レベル放射性廃棄物の処分費用等が見込まれる。2011年3月に事故を起こした福島第一原発1~4号炉の廃炉には30年~50年の期間を要し、1兆円をこえる費用がかかるとも予測されている。
[安斎育郎]
(金谷俊秀 ライター / 2012年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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