① 古く、東国で行なわれた行事の一つ。陰暦二月八日に農事を始めたところから起こったもの。御事汁(おことじる)などをつくって祝ったが、後には、農事に限らず一般の行事ともなり、江戸の町家などでは魔除けのまじないとして、軒先や屋根の上に目ざるを竿の先につけた「揚笊(あげざる)」の風習も生じた。ことはじめ。⇔御事納。《 季語・春 》 〔随筆・守貞漫稿(1837‐53)〕
② 江戸時代の行事の一つ。江戸などでは陰暦一二月八日、上方などでは同一二月一三日にすす払いをし、正月の準備を始めること。江戸ではこの日にも揚笊をあげた。⇔御事納。《 季語・冬 》