使用者によって組合の運営や人事が支配されたり,組合幹部が買収されたりした結果,使用者に対する自主性を失った労働組合のこと。黄色組合とほぼ同義(黄色組合については〈赤色労働組合〉の項参照)。日本の労働組合法2条は,御用組合を労働組合の定義から除外し,また同法7条3項は,使用者が労働組合を御用組合化しようとする行為を不当労働行為として禁止している。第1次大戦後のアメリカで労働組合組織化が進展した際,使用者は労働組合に対抗する組織として会社組合(カンパニー・ユニオンcompany union)を1930年代前後にかけて結成したが,これが御用組合の源流である。アメリカでは35年のワグナー法で御用組合を禁止したが,第2次大戦後の日本の前記規定もこの系譜をひくものである。日本の企業別組合は,組織形態が会社組合と類似しているため,御用組合化する危険が大きいといわれている。
執筆者:遠藤 公嗣
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使用者によって支配、運営されているか、またはその庇護(ひご)のもとにある労働組合。欧米では一般にカンパニー・ユニオンcompany union(会社組合)とよばれている。
労働組合の活動や方針が戦闘的か協調的かは、企業経営に重大な影響を与える。したがって、使用者にとっては、組合への利益代表の派遣、経費援助、組合役員の職制への登用など、種々の方法で組合を後者の路線に引き込み、使用者の意向に沿うよう御用組合化する傾向にある。そのため、現行の労働組合法(昭和24年法律174号)では、雇入れ、解雇、昇進、異動に関して直接の権限を有する監督的地位にある労働者や使用者の利益を代表する者の参加を許すもの、組合運営のため使用者から経理上の援助を受ける組合を、労働組合法の適用外の扱いとしている。企業別組合が中心であり、労働者の企業意識が強い日本では、労使双方に御用組合化への危険があるといえる。
[吉田健二]
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…つまり,自主性の要件が問おうとしているのは,組合内における意思形成の態様・様式そのものであって,決定された組合意思・政策が使用者に対する関係でいかに戦闘的なあるいは協調的,協力的な性格をもっているかではない。したがって,たとえば,組織内の役職のほとんどを会社の職制が占めており,組織経費の主要部分を会社が支弁しているという場合のように,労働組合として独自・独立の立場からその意思を決定することが構造的に不可能であるときにのみ,自主性を欠くという意味での御用組合の存在が認定される,というのが正しいであろう。もっとも,このように解すると,使用者の利益代表者の参加,使用者からの一定の経費援助を自主性の自動的喪失条件とするかにみえる労働組合法2条但書1,2号に対して合理的な説明を与えるべき必要が別に生じるが,この点については,例示説をとらざるをえないことになる。…
※「御用組合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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