戦略的互恵関係(読み)センリャクテキゴケイカンケイ

デジタル大辞泉 「戦略的互恵関係」の意味・読み・例文・類語

せんりゃくてき‐ごけいかんけい〔‐ゴケイクワンケイ〕【戦略的互恵関係】

安全保障外交経済環境エネルギーなどさまざまな分野共通利益を目ざそうとする二国間関係。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「戦略的互恵関係」の解説

戦略的互恵関係

日中関係発展双方の利益に合致するとの認識政治・経済で協力し、2国間や地域、世界規模の課題解決に取り組む関係。歴史認識など立場が異なる問題での対立より実利を重視する考え方。2006年に当時の安倍晋三首相胡錦濤こ・きんとう国家主席の会談で、関係の安定と発展を図るために構築がうたわれた。日中間の「四つの基本文書」の一つである08年共同声明に包括的に推進すると明記。石破茂首相は今年11月、習近平しゅう・きんぺい国家主席と会談し推進を確認した。(北京共同)

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦略的互恵関係」の意味・わかりやすい解説

戦略的互恵関係
せんりゃくてきごけいかんけい

日本と中国が、政治における信頼関係を醸成し、国民の相互理解を深めるなどしてさまざまな分野で共通の利益を目ざそうとする関係。2006年(平成18)10月に訪中した首相安倍晋三(あべしんぞう)と中国国家主席胡錦濤(こきんとう)の間で合意し、2008年に胡主席が訪日した際に当時の首相福田康夫と『「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明』を発表した。具体的には、(1)政治的相互信頼の増進、(2)人的、文化的交流の促進および国民の友好感情の増進、(3)互恵協力の強化、(4)アジア太平洋への貢献、(5)グローバルな課題への貢献、などを日中双方が協力して推進することが盛り込まれた。政治体制の異なる日中両国の関係を初めて「戦略的」と表現したことで話題となった。しかし、2010年9月の尖閣(せんかく)諸島海域で起きた中国漁船衝突事件や2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化などにより、日中関係は悪化。中国側は政治、文化など多くの分野での日本との対話を拒否し、共同声明に盛り込まれた協力関係はほとんど実現できていない。

[矢板明夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android