政令(読み)セイレイ

デジタル大辞泉 「政令」の意味・読み・例文・類語

せい‐れい【政令】

政治上の命令法令
内閣が制定する命令憲法および法律規定を実施するための執行命令と、法律の委任に基づく委任命令とがある。
[類語]省令条例

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精選版 日本国語大辞典 「政令」の意味・読み・例文・類語

せい‐れい【政令】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 政治上の命令または法令。
    1. [初出の実例]「王者政令不便事、天地譴責以示咎徴」(出典:続日本紀‐養老五年(721)二月甲午)
    2. 「かくのごとき大不同有(ある)は、政令によれり」(出典:随筆・孔雀楼筆記(1768)四)
    3. [その他の文献]〔周礼‐天官・小宰〕
  3. 憲法や法律を実施するために内閣が制定する命令。主任国務大臣署名し、内閣総理大臣が連署して天皇が公布する。
    1. [初出の実例]「この憲法及び法律の規定を実施するために政令を制定すること」(出典:日本国憲法(1946)七三条)

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改訂新版 世界大百科事典 「政令」の意味・わかりやすい解説

政令 (せいれい)

最高行政機関である内閣の発する命令をいう。職権の行使に独立性が認められている事項に関するものを除き,他の行政立法に対し優越的効力を有する。政令には,憲法および法律の規定を実施するために制定されるもの(憲法73条6号,執行命令)と,法律の委任に基づいて制定されるもの(委任命令)とがある。ただし,執行命令としての政令は,法律の規定をまたず憲法の規定を直接に実施する内容をもちえないと解するのが通説である。したがってその内容は法律を実施するための細則的・手続的事項に限定される。委任命令としての政令を直接に認めた規定は存在しないが,憲法上,罰則を設ける場合には特別な法律の委任が必要であるとされていること(73条6号但書)からも,その存在が許容されていると解されている。内閣法では,罰則を設ける場合のほか,国民に〈義務を課しまたは権利を制限する〉場合にも,特別な法律の委任を必要とするものとしている(11条)。執行命令としての政令は〈○○法施行令〉,委任命令としての政令は〈○○に関する政令〉等を表題としている。政令への委任にも委任立法の限界論があてはまるから,委任は抽象的・一般的になされてはならず,個別具体的でなければならない。したがって明治憲法下の国家総動員法のような白紙委任は許されない。政令は,内閣総理大臣および各省大臣が案をそなえて内閣総理大臣に提出し,閣議による決定を求め(内閣法4条3項,国家行政組織法11条),閣議がこれを決定すれば,内閣の助言と承認により天皇が公布する(憲法7条1号)。政令には,すべて主任の国務大臣が署名し,内閣総理大臣が連署しなければならない。主任の大臣の署名は,内閣の指揮監督の下において,その政令の執行を分担管理する責任を明らかにし,内閣総理大臣の署名は制定者としての内閣の代表者としての署名である。なお,明治憲法下における閣令(内閣官制4条)は,主任の事務を担当する大臣の一人としての内閣総理大臣の命令であり,その効力も他の大臣が定める省令と同等であって,今日の政令とは異なる。
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百科事典マイペディア 「政令」の意味・わかりやすい解説

政令【せいれい】

行政機関である内閣によって制定される命令。憲法・法律の規定を実施するため,または法律の委任に基づいて制定される。政令は特に法律の委任がなければ,罰則を設け,義務を課し,権利を制限する規定を設けることができない(憲法73条,内閣法11条)。
→関連項目委任命令施行令執行命令省令占領目的阻害行為処罰令ポツダム政令立法機関

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「政令」の意味・わかりやすい解説

政令
せいれい
government ordinance

内閣が制定する命令 (憲法 73条6号) 。政令の制定改廃についての案の作成は主任の大臣が行い,閣議にはかる (国家行政組織法 11) 。政令にはすべて主任の大臣が署名し,内閣総理大臣が連署し,天皇が公布する (憲法 74,7条1号) 。政令には,法律の実施に必要な細則を定めるたぐいのもの (執行命令) と,法律の委任を受けて制定されるたぐいのもの (委任命令) とがある。罰則を設け,あるいは義務を課し権利を制限する規定を設けるには,法律の委任が必要とされる (憲法 73条6号但書,内閣法 11) 。

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とっさの日本語便利帳 「政令」の解説

政令

憲法及び法律の規定を実施するために内閣が制定する命令。特に法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができず、義務を課し、または権利を制限することもできない。閣議によって決定する。

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普及版 字通 「政令」の読み・字形・画数・意味

【政令】せいれい

法令。

字通「政」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の政令の言及

【命令】より


[行政法上の命令]
 (1)国の行政機関の制定する一般的な法的規律(行政立法)を命令という。現行憲法下における命令の形式としては,内閣の定める政令(憲法73条6号),内閣総理大臣または各省大臣の定める総理府令または省令,委員会または庁の長が定める規則(国家行政組織法12,13条),会計検査院の定める会計検査院規則(会計検査院法38条),人事院の定める人事院規則(国家公務員法16条)などがある。またそれは法律を執行するための執行命令(施行命令)又は法律の委任に基づく委任命令としてのみ制定することが許される。…

【立法】より


[国会以外の公的機関による立法]
 国会以外の公的機関も,一般的には法律の範囲内で立法が認められている。両議院はそれぞれ議院規則を定めうる(憲法58条2項)し,内閣は政令(73条6号),大臣は命令について(国家行政組織法12条)それぞれ立法権を有する。また,最高裁判所は,裁判に関連した事務処理,裁判所の内部規律等について規則を定めることができる(裁判所規則。…

※「政令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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