新疆ウイグル自治区(読み)シンキョウウイグルジチク(英語表記)Xīn jiāng Wéi wú ěr zì zhì qū

デジタル大辞泉 「新疆ウイグル自治区」の意味・読み・例文・類語

しんきょうウイグル‐じちく〔シンキヤウ‐〕【新疆ウイグル自治区】

《新疆は新しい土地の意》中国北西部の自治区崑崙こんろん天山アルタイの3山脈と、その間にあるタリムジュンガルの2盆地からなる。中心都市はウルムチ。水利開発によるオアシス農業が盛ん。古代はシルクロード交通の要地。代に中国の版図に入った。1884年から新疆省、1955年から自治区となる。人口、2010万(2005)。新疆。

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共同通信ニュース用語解説 「新疆ウイグル自治区」の解説

新疆ウイグル自治区

中国に31ある省・自治区・直轄市の一つで、中国北西部に位置し、面積は国土の6分の1。総人口2585万人の約45%をイスラム教徒でトルコ系のウイグル族が占める。文化・習俗の違いや経済格差などから、中国全体の9割以上を占める漢族への反感は根強く、2009年に区都ウルムチで大規模暴動が起きるなど暴力事件がしばしば発生。中国政府はウイグル族への監視と取り締まりを強化し、収容施設での中国語教育や宗教活動の制限を進めている。(共同)

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精選版 日本国語大辞典 「新疆ウイグル自治区」の意味・読み・例文・類語

しんきょうウイグル‐じちくシンキャウ‥【新疆ウイグル自治区】

  1. ( ウイグルはUighur ) 中国の北西部にある省級の自治区。主都ウルムチ。中央部を東西に走る天山山脈とその北側のジュンガル盆地、南側のタリム盆地、東側のトルファン盆地からなる。住民は約三分の二を占めるウイグル人のほか、カザフ、キルギス、モンゴルなどの少数民族がいる。古来西域の名で知られ、オアシス農業と牧畜が行なわれていたが、第二次世界大戦後大規模な水利事業が行なわれ、コムギ・トウモロコシなどの農産物は飛躍的に増大した。

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改訂新版 世界大百科事典 「新疆ウイグル自治区」の意味・わかりやすい解説

新疆ウイグル(維吾爾)自治区 (しんきょうウイグルじちく)
Xīn jiāng Wéi wú ěr zì zhì qū

中国北西部の自治区。中国では新疆維吾爾自治区と表記。北東はモンゴル,南東は甘粛,青海の両省,南はチベット(西蔵)自治区,北西から南西はロシア,カザフスタン,キルギス,タジキスタンの諸国や,アフガニスタンカシミール地方と境を接する。面積は全国の省・自治区最大の160万km2,人口1846万(2000)。ウイグル族約46%,漢族約40%,カザフ族約7%のほか,回,キルギス,モンゴル,ロシア,シボ,タジク,ウズベク,タタール,ダフール,満州などの諸民族が居住し,自治州・県を形成している。区都はウルムチ(烏魯木斉)。5自治州,8地区,2地級市,15県級市,64県,6自治県からなる(1994年末現在)。

自治区中央を東西に走る天山山脈により北疆と南疆に分けられるが,北疆すなわち天山山脈の北には,モンゴルとの国境を成すアルタイ山脈,カザフスタンとの境のアラタウなどの諸山脈にかこまれた,草原がひろがり,西部に油田,中央に砂漠を有するジュンガル(準噶爾)盆地がある(面積約38万km2)。天山山脈の南には,アフガニスタンやカシミールとの国境となるパミール高原カラコルム山脈チベット自治区や青海省との境の崑崙(こんろん),アルチン(阿爾金)の諸山脈にかこまれたタリム(塔里木)盆地があり(約53万km2),その中央部にはタクラマカン砂漠がひろがっている(約33万km2)。中央アジアから中国にまたがる天山山脈は中国領内の全長は約1300km,数条の山脈から成るが,この山脈の間には西のイリ(伊犂)川流域,東端のハミ(哈密)などいくつかの盆地がみられる。そのうち東部のトゥルファン(吐魯番)盆地は標高が低く,ここの艾丁湖は海面下154mである。自治区内の河川は,天山山脈から北流してジュンガル盆地に入るマナス(瑪納斯)川(全長406km),南流してタリム盆地に入るアクス(阿克蘇)川(419km),崑崙山脈から北流して同じくタリム盆地に入るヤールカンド(葉爾羌)川(1037km),ホータン(和田)川(1090km),チェルチェン(車爾臣)川(527km),パミール高原から東流するカシュガル喀什噶爾)川(505km),天山山脈から北西流してカザフスタンへ入るイリ川などほとんど内陸河川で,これらが天山山脈や崑崙山脈の山麓に多数のオアシスをつくっている。このうちタリム盆地北西部でヤールカンド,アクス,ホータンの諸河川を集め,盆地北部を東流するタリム川は,全長2137kmと中国最大の内陸河川である。なお,アルタイ(阿勒泰)山脈南麓から北西流してカザフスタンへ入るイルティシュ(額爾斉斯)川は,ロシアの西シベリアで北極海へ流入するオビ川に合流している。またこの地には天山山脈南東部の自治区最大の淡水湖バグラシ(博斯騰)湖(980km2),ジュンガル盆地西部のサリム(賽里木)湖,北西部のマナス湖などの湖がみられ,タリム盆地東端には数年前まではタリム川の水が注ぐ広大な塩湖ロブ・ノール(羅布泊)もあった。

 気候は乾燥・大陸性で,1月の平均気温は北疆で-16~-20℃,南疆で-10℃前後,7月のそれは北疆で20~26℃,南疆で25℃前後であり,年間の気温較差は30℃を超える。なお,高度が海面下のトゥルファン盆地はとくに気温が高く,7月平均気温の最高は33℃,過去最高の記録は48.9℃である。年間降水量は南疆ではハミ33mm,ホータン35mm,トゥルファン17mmなど100mm以下であるが,北疆は北極海の湿潤な大気の影響のため,伊寧264mm,北端のアルタイ192mm,ウルムチ195mmなど150~350mmとなり,天山山脈北面では400mm以上で,はげ山の南面とは対照的に杉などの森林がみられる。こうした天山山脈への降雨・降雪が内陸河川の水源として重要なのである。

この地にはすでに前7~前6世紀からタリム盆地に多数のオアシス国家があり,北には匈奴や今日のカザフ族の祖先であるとされる烏孫がいたが,前2世紀後半,漢の武帝による大月氏国への張騫(ちようけん)の派遣を契機に,この〈西域〉地方は中国本土と中央アジアさらに遠くヨーロッパを結ぶ重要な地域となった。ここにはタリム盆地北縁すなわち天山山脈南麓や盆地南縁のオアシスをそれぞれつなぐルート,また,天山山脈北麓のルートが開かれ,東西交易や文化交流が盛んにおこなわれてオアシス諸国家の繁栄をみた。このいわゆる〈シルクロード〉の支配をめぐる争いがこの地の歴史ともなるのであるが,1世紀後半,後漢は匈奴勢力を降してオアシス諸王国を服属させ,西域都護を置いてこれを統治した。やがて中国王朝の衰退とともに北から突厥(とつくつ)が進出してきたが,7世紀中ごろ唐はこれを滅ぼし,亀茲(きじ)(現,クチャ(庫車)県)に安西都護府,8世紀初め庭州(ジムサル)に北庭都護府を設けて広大な地域を支配した。8世紀ころからはアラビア人の海上交通活動が盛んになり,〈シルクロード〉の重要性は失われていくが,この地では8世紀中ごろ吐蕃(とばん)の勢力が南部に入ったり,9世紀中ごろからは今日のウイグル族の祖先である回鶻(かいこつ)(ウイグル)が,モンゴル高原から移住し,宋代には彼らによる支配がみられたりした。また,10世紀末パミール高原から入ったイスラム教は,仏教との争いを経てしだいにその地位を確立していった。12~13世紀初めにはカラ・キタイ(西遼),13世紀元代には二つの行省の行政区域を経てチャガタイ・ハーン国がこの地を治め,16世紀明代には北からモンゴル系のオイラート部が勢力を拡大し,また,カシュガル・ハン国,トゥルファン王国などがあった。清代には北疆にトルグート,ジュンガル両部,南疆にカシュガル部などが勢力圏を有していたが,清朝は18世紀中ごろこれらすべてを服従させ,やがて1884年(光緒10)には〈迪化(てきか)〉(今日のウルムチ)を省都とし,〈新しい土地〉という意味の新疆省を設置した。なお,清代にはこの地をめぐる帝政ロシアとイギリスとの争いがあり,ジュンガル盆地のイリ川流域は一時は帝政ロシア領になったりしたし,また,イスラム教徒(ドゥンガン)の再三の反乱など清朝はその統治に苦心した。中華民国時代にも,1931年ハミでのイスラム教徒の反乱があり,さらに44年にはウイグル,カザフ両族は伊寧を中心に東トルキスタン共和国を樹立したが,これは49年の新中国誕生の翌年解散し,55年10月10日ウルムチを区都とする今日の自治区の正式成立と新建設の開始をみたのである。しかし,1949年ころは全人口の約7%だった漠族が,今日では約40%を占めるにいたり,これに危機感を抱く少数民族による一部地域での独立の動きが伝えられている。

この地方では古くから〈坎児井〉(カレーズ,カナートのこと)という地下水路によるオアシスでの小規模な灌漑農業がおこなわれてきたが,解放後,新疆生産建設兵団と民衆の手によってマナス,アクスその他の地でダムの建設,用水路の開削,防風・防砂林の造成,河川の治水などの大規模な水利事業が展開され,これによって広大な新しい農地が獲得された。今日,自治区の農産物としては,耕地の約40%を占める小麦をはじめ,トウモロコシ,水稲(アクス地方など),コーリャンなどの穀物,唐代からその栽培・加工が発展した綿花,テンサイ,榨油植物などの工芸作物や養蚕,種なし白ブドウで有名なトゥルファンのブドウ,栽培の歴史が500年以上というハミや鄯善(ぜんぜん)のウリ,アクス,クチャのクルミ,クルラ(庫爾勒)の香梨などの果実類が主なものとしてあげられる。

 また,古来その広大な草原で遊牧民が活動してきたこの地では,今日でも牧畜は重要な産業であり,その毛,肉ともに品質がすぐれ,中国全土にも普及している新疆細毛羊や肉食用の太尾羊などのヒツジ,ヤギ,イリ馬やバリコル(巴里坤)馬などの馬,塔城などの牛,ラクダなどが飼育されていて,羊毛は全国の約25%を生産する。解放後は地下資源の開発も進展し,ジュンガル盆地のクラマイ(克拉瑪依)や独山子の石油,天山山脈のウルムチ付近やトゥルファンなどの石炭,沙雅などの鉄鉱石,拝城,伊寧などの銅,北のアルタイやタリム盆地南部且末(チェルチェン)の金などの産出がみられ,とくに石油は今後タリム盆地などでの開発が期待されている。また,その採取は前10世紀ころからといわれる有名なホータン地方の玉石もある。こうした農畜産物や地下資源を基礎にした工業の発展も解放後はめざましく,ウルムチその他において全国的にも重要な綿・毛紡織をはじめ,石油化学,鉄鋼,農業機械,電力,食品,皮革等々の工業がみられ,さらに伝統的手工業品として諸民族の帽子や楽器,じゅうたん,玉石彫刻品,小刀,装身具などがある。

 自治区には古く東西文明を結ぶ〈シルクロード〉が発展していたが,今日の交通としては,1962年開通の蘭新鉄道(蘭州~ウルムチ。1892km,自治区内は1200km),79年第1期区間が開通し,トゥルファンで蘭新線に接続する南疆鉄道(トゥルファン~クルラ。474km)がある。前者は西はカザフスタンを経て遠くヨーロッパまで,東は黄海沿岸の連雲港につながっている。また,ウルムチから蘭州やチベットのラサへのびる自動車道路,自治区内の主要地域をつなぐ自動車道路,カシュガル(喀什)からパキスタンのペシャーワルへ走る自動車道路など全区で延べ約23万kmの自動車路がある。航空路もウルムチから北京,上海,蘭州,西安それに自治区内の諸都市,さらにパキスタンのカラチ,イランのテヘランなどにその路線をひろげている。

自治区内の都市としては,新しい工業・交通中心地,新疆大学など学術中心で自治区主都のウルムチ(モンゴル語で〈美しい牧場〉の意)のほか,石油工業のクラマイ,大規模な屯田事業を基礎に農・工・商コンビナートが発達しているマナス河畔の石河子,独山子油田付近の奎屯(けいとん),イリ・カザフ自治州の政経中心で,〈花園城〉の名がある伊寧があり,バインゲレン(巴音郭楞)・モンゴル自治州の中心で紡織工業の天山山脈南麓のクルラ,炭田と鉄鉱山をひかえ,蘭新鉄道の要地である東部最大のハミとその西に位置するトゥルファン,タリム盆地北西部のアクス,中国最西端の都市で政経中心のカシュガルがある。

天山山脈の阜康(ふこう)県境天山の頂上にある天池は観光避暑地として有名で,付近には古い寺院などもある。かつてこの地方の仏教中心地〈亀茲国〉があったクチャ,拝城地方には仏教石窟遺跡が多く,なかでも236窟があるクチャ県城西のキジル石窟は,古いものは3世紀ころの石窟といわれ,仏教壁画が残されている。また,タリム盆地東端の若羌(じやくきよう)県にある有名な漢代の〈西域〉の一中心楼蘭遺跡をはじめオアシス諸国家の古城遺跡も多く,今日これらの考古学的調査研究が活発におこなわれている。
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百科事典マイペディア 「新疆ウイグル自治区」の意味・わかりやすい解説

新疆ウイグル自治区【しんきょうウイグルじちく】

中国北西部の民族自治区。モンゴル,ロシア,カザフスタン,キルギス,タジキスタン,アフガニスタン,パキスタン,インドに接する。主都はウルムチ。中央に天山山脈が東西に連なり,南疆,北疆に2分する。南疆はタリム盆地を中心に,その南北にオアシス都市が東西に並ぶ。北疆はジュンガル盆地(ジュンガリア)を中心に,その南縁に中国中央部との交通幹線が東西に走る。河川はほとんど内陸河である。気候は典型的内陸性気候。交通は自動車道路を主とし,蘭新鉄路(蘭州〜ウルムチ),南疆鉄路(トゥルファン〜クルレ)などがある。小麦,水稲,綿花,果物,木材,畜産品などのほか,金,銀,鉄,石油,石炭などの地下資源が豊富。特に石油と天然ガスはそれぞれ,中国全体の埋蔵量の3割とされ,中国は新疆生産建設兵団という準軍事的政府組織を展開し,経済・軍事開発をはじめ行政・司法の全般を担わせた。原油精製やパイプライン敷設,送電線建設,石油コンビナートなどの巨大設備建設が進んでおり,成長を続ける中国にとって最重要の経済拠点である。民族構成はウイグル族(維吾爾族)が総人口の47%余(1991年。1949年には76%。)を占め,漢族約38%が次ぎ,そのほかカザフ族,回族,モンゴル族,満族,オロス族(ロシア人),キルギス族,シボ(錫伯)族タジク族,ウズベク族などの少数民族が居住する。1955年に中国で2番目に成立したこの自治区では,最も遅れて1965年に成立したチベット自治区とともに民族問題が大きな重みをもっている。漢族の大量の流入が相次ぎ,漢族との格差問題なども加わり,ウイグル族を中心に分離独立を求める動きが活発化することになった。分離独立を主張する人々は,新疆という呼称を嫌い〈東トルキスタン〉という呼称を用いている。民族構成における漢族の比重の増大,改革・開放政策のもとでの格差拡大,ソ連崩壊と中央アジアの隣接する民族国家の独立,東トルキスタンイスラム運動などイスラムの影響力が主たる要因である。2013年11月の天安門自動車爆破事件や2014年3月の昆明駅無差別暴力事件などを中国政府は新疆ウイグル自治区の過激派組織によるものとしてウイグル族への規制・弾圧を強めているが,中国当局が実体を開示していないため詳細は不明である。2015年3月,同区共産党委員会は,イスラム過激派組織ISの戦闘に参加した後,中国に戻ったグループを摘発したと発表,ウイグル独立派など新疆のイスラム過激派の一部がISに参加していると懸念を示した。164万6800km2。2226万人(2014)。→新疆
→関連項目中央アジア中華人民共和国ドゥンガントルキスタン東トルキスタンイスラム運動

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知恵蔵 「新疆ウイグル自治区」の解説

新疆ウイグル自治区

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新疆ウイグル自治区」の意味・わかりやすい解説

新疆ウイグル〔自治区〕
しんきょうウイグル

「シンチヤン(新疆)ウイグル(維吾爾)自治区」のページをご覧ください。

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