日商岩井(読み)にっしょういわい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日商岩井」の意味・わかりやすい解説

日商岩井
にっしょういわい

大手総合商社の旧名称。神戸の大商社鈴木商店破綻(はたん)ののち、同店直属の貿易会社であった日本商業会社を母体として1928年(昭和3)に設立された日商と、雑貨仲介商岩井商店(1862年創業)の後身の岩井産業とが1968年(昭和43)に合併した。

 日商はインドのタタ銑鉄、カリフォルニア原油重油の輸入を中心に発足したが、その後、鋼材スクラップ綿花なども扱って、第二次世界大戦前すでに大手貿易会社の地位を確立。戦後は三井物産、三菱(みつびし)商事の解散によって再編成された業界にあって順調に業務を拡大し、昭和30年代を通して総合商社に成長した。一方岩井商店は1912年(大正1)株式会社となり、大正時代を通して、大阪鉄板製造(現日新製鋼)、日本曹達(ソーダ)工業(現トクヤマ)、関西ペイントなどを設立、また大正末には官営八幡(やはた)製鉄所の指定商となり金属取扱いの基礎を築くなど活発な企業活動を行った。第二次世界大戦中の1943年、岩井産業と改称。戦後は繊維の取扱いにも進出して総合商社化を図って、両社の合併により業界第5位に浮上(1995年第6位)。2003年(平成15)4月、総合商社ニチメン経営統合し持株会社ニチメン・日商岩井ホールディングス(2004年7月に双日(そうじつ)ホールディングスとなる)を設立、その子会社となり、さらに2004年4月にはニチメンと合併、双日株式会社を発足させた。合併前の日商岩井の資本金1845億円、売上高2兆4115億円(2004)、大阪・東京に本社、国内30か所、国外131か所に営業拠点をもっていた。なお、2005年10月に双日ホールディングスと双日が合併、双日ホールディングスを存続会社とし、社名を双日と変更した。

[森 真澄]

『日商岩井株式会社編・刊『岩井百年史』(1964)』『日商岩井株式会社編・刊『日商四十年の歩み』(1968)』

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百科事典マイペディア 「日商岩井」の意味・わかりやすい解説

日商岩井[株]【にっしょういわい】

旧鈴木系の総合商社。大手総合商社で国内6位。1874年ころ鈴木岩治郎が鈴木商店を創業。1927年鈴木商店が破綻。翌1928年直系子会社の日本商業(1909年創業)に,鈴木商店の営業権を譲渡し,その後継会社・日商として再発足。1943年日商産業に改称し,1949年に日商に改称。1968年岩井産業と合併し,現社名に改称。岩井産業は1862年に岩井文助が創業した岩井商店に端を発し,1912年に株式会社に改組,1943年に改称したもの。金属・機械分野に強く,航空機も扱う。しかし,投機の失敗などから業績不振が続き,繊維部門の縮小など大幅な合理化で経営再建を図る。本社大阪。2003年資本金1029億円,2003年3月期売上高4兆6190億円。2003年4月にニチメンと経営統合し,持株会社ニチメン・日商岩井ホールディングスを設立。2004年4月,両社は合併し〈双日〉としてスタート。
→関連項目関西ペイント[株]総合商社双日[株]ダイセル化学工業[株]トクヤマ[株]日新製鋼[株]速水優

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日商岩井」の意味・わかりやすい解説

日商岩井
にっしょういわい

総合商社。明治,大正期に活躍した鈴木商店の機構と内外取引先を受け継ぎ,その貿易部門であった日本商業を改組して 1928年に日商を設立,1943年日商産業と改称,1949年再び日商と改称。 1956年白洋貿易と合併,1968年岩井産業との合併を機に日商岩井に社名変更。鉄鋼,機械,木材,航空機,車両を主力に,取扱高を伸ばした。 2003年4月株式移転によりニチメンと日商岩井の完全親会社として資本金 100億円でニチメン・日商岩井ホールディングス設立。 2004年7月商号を双日ホールディングスに変更。 2004年4月ニチメンと日商岩井が合併し商号を双日に変更。

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世界大百科事典(旧版)内の日商岩井の言及

【鈴木商店】より

…そのため,4月5日に鈴木商店は内外の新規取引を中止し,破産した。破産した鈴木商店の営業を引き継いで再建したのが日商であり,同社は68年に岩井産業と合併し日商岩井となった。【浅井 良夫】。…

※「日商岩井」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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