日本の全弁護士および全弁護士会を会員とする唯一の全国組織。略して日弁連と呼ぶ。1949年,弁護士法45条に基づいて設立された公法人である。弁護士は,各地方の弁護士会(日弁連に対して単位会と呼ばれる)に加入することを要し,また当然に日弁連の会員となる(強制加入)。
日弁連は会員に対する懲戒権を有し,また単位会の懲戒処分につき不服審査を行う。弁護士になろうとする者の資格審査,弁護士名簿の管理等も重要な業務内容である。懲戒権や資格審査権の行使について,日弁連はいかなる国家機関の監督も受けない。このような自治権を有することは,単位会とともに日弁連が他の職業団体に対して有する決定的な特徴である。弁護士が基本的人権の擁護を使命としている(弁護士法1条)ところに自治権の基礎がある。高度な専門性を必要とする自由業という点で共通性をもつ他の知的職業の全国組織,たとえば日本医師会が,厚生大臣の監督に服し,任意団体(社団法人)であり,加入を強制されないのと比較するとき,日弁連の組織的特徴が明らかとなろう。日本医師会が〈開業医の利益団体〉的性格をもつといわれ,体制内の強力な圧力団体であるのに比較して,日弁連にはそのような性格は薄い。その反面,その活動が個々の弁護士の経済的利害と直結しないため,会員の無関心を招きがちである。体制に批判的建言を行いうる知識人の団体として貴重な存在であるとともに,体制に押し切られやすいという弱点がある。
→弁護士会
執筆者:古賀 正義
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日本弁護士連合会は、弁護士および弁護士会を会員とする法人である。略して日弁連とよぶ。その目的は、弁護士の使命および職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士事務の改善進歩を図るため、弁護士および弁護士会の指導・連絡および監督に関する事務を行うことにある(弁護士法45条・47条)。
弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をし(同法9条)、そこに備えられた弁護士名簿に登録されなければならない(同法8条)。その際、弁護士会は資格審査会の議決に基づき、登録または登録換えの請求の進達を拒絶し(同法12条)、あるいは登録取消しの請求(同法13条)ができることになっている。登録取消しの請求をされた者は、日本弁護士連合会に異議を申し出ることができる(同法14条)。また、弁護士会から登録および登録換えの請求の進達を受けた場合、日本弁護士連合会は、その請求を拒絶することを相当と認めるときは、資格審査会の議決に基づき、その登録または登録換えを拒絶することができる(同法15条)。なお日本弁護士連合会の処分に不服なときは、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる(同法16条)。
[内田武吉]
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