日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本貨物鉄道」の意味・わかりやすい解説
日本貨物鉄道(株)
にほんかもつてつどう
日本国有鉄道(国鉄)が分割・民営化したことにより、1987年(昭和62)4月に発足した全国規模の貨物鉄道会社。略称、JR貨物。英語名はJapan Freight Railway Company、略称はJR Freight。JRグループの一つである。高度経済成長期以降のトラック輸送の著しい躍進により、鉄道貨物輸送量のシェアは1965年の9.3%から2014年(平成26)の0.9%にまで落ち込んでいる。コンテナ専用列車と石炭・石油・セメントなどの車(しゃ)扱い列車の運行がメインであるが、貨物線操車場跡地を活用した倉庫業やマンション等の分譲賃貸等、不動産業も営む。資本金は190億円で株式は非上場、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(略称、鉄道・運輸機構)が100%所有する。本社は東京都渋谷区千駄ヶ谷(せんだがや)で、支社が北海道、東北、関東、東海、関西、九州にある。使用する鉄道線路は自社専用貨物線と、使用料を支払ってのJR旅客鉄道会社線・第三セクター鉄道線である。高速道路などを利用した大型トラック輸送の増大により鉄道貨物輸送量は著しく減少してきたが、2010年代以降はトラックドライバー不足や、地球温暖化防止に関するパリ協定の合意(2015)に伴う二酸化炭素(CO2)削減を目ざす情勢から、鉄道貨物輸送へのシフトがすこしずつ出てきている。JR貨物は2017年3月期に本業の鉄道貨物事業が輸送量の増加や人件費削減などの実施とも相まって、民営化以来初めて黒字化を達成。競争力が高まったことから、2018年には初の運賃値上げに踏み切った。
[土居靖範 2018年7月20日]