日本電気(読み)にほんでんき

改訂新版 世界大百科事典 「日本電気」の意味・わかりやすい解説

日本電気[株] (にほんでんき)

日本最大の通信機メーカーであるとともに,コンピューターICの分野でも有力な総合エレクトロニクス・メーカー。正しくは〈にっぽんでんき〉と読む。略称NEC。1899年,アメリカのウェスタン・エレクトリック社(WE)と岩垂邦彦らによって,日本最初の合弁会社日本電気(株)として設立翌年より磁石式電話機,小型交換機の製造を開始した。1913年WE社と相互販売,技術協力の一般協定を締結。20年電線部門を住友電線製造所(現,住友電気工業)に移し,32年には,当時の外資系企業圧迫の動きから,経営を住友合資会社に委託した(日本電気は現在住友グループの中核企業の一つ)。43年社名を住友通信工業(株)としたが,45年日本電気(株)に戻した。53年ラジオ事業部を分離して新日本電気(株)(のち日本電気ホームエレクトロニクス)を設立。58年最初のパラメトロン式電子計算機NEAC-1101,1102を完成,同年9月にはトランジスター式電子計算機NEAC-2201を完成した。62年アメリカのハネウェル社と電子データ処理装置の技術援助契約を締結。63年NECアメリカを設立。以後活発な海外進出が続く。65年IC分野に進出した。75年ころから半導体の売上げで日本のトップに立った。1970年代後半から〈C&C〉(コンピューター・アンド・コミュニケーション。コンピューターと通信の融合)を提唱し,コンピューターの部門では〈9800シリーズ〉で日本企業の先頭に立った。資本金3378億円(2005年9月),売上高4兆8551億円(2005年3月期)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本電気」の意味・わかりやすい解説

日本電気
にっぽんでんき

通信・電子機器の総合メーカー。半導体,通信機器,コンピュータでは業界第1位,衛星通信の地上局建設では世界第1位の実績をもつ。 1899年アメリカのウェスタン・エレクトリックの協力で設立,1943年住友通信工業と改称したが 45年再び現社名に変更した。 50年 ISE (ウェスタン・エレクトリックの子会社) と技術提携,翌 51年資本提携も復活させ,53年家電部門を分離して新日本電気 (現在の日本電気ホームエレクトロニクス) を設立,さらに日本電気工事を設立。 92年呼称を NEC (エヌイーシー) にする。 99年 DRAMで日立と提携,合弁会社を設立。売上構成比は,通信機器 33%,コンピュータ 45%,電子デバイス 22%,ホームエレクトロニクスほか1%。年間売上高4兆 7594億 1200万円 (SEC方式。うち輸出 21%) ,資本金 2303億 2700万円,従業員数3万 8791名 (1999) 。

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世界大百科事典(旧版)内の日本電気の言及

【機械工業】より

…白熱舎の後身である東京電気(現,東芝の前身)はアメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE)に,1905年55%の株式を引き渡さざるをえない状態に立ち至った。さらに芝浦製作所(現,東芝の前身)も1909年にGEに資本の4分の1を,また1899年設立の日本電気はウェスタン・エレクトリック社と,1923年設立の富士電機製造(現,富士電機)はドイツのジーメンス社と,同じく三菱電機はアメリカのウェスティングハウス・エレクトリック社といずれも資本提携をして技術導入をせざるをえなかったのである。ただ1908年,日立鉱山の電気機械修理工場として設置され,後に1920年に独立した日立製作所のみは,大手企業のうち外国資本と結合をもたない唯一の企業であった。…

【コンピューター産業】より

…60‐61年ころになると,パラメトロンはトランジスターに比べ速度が遅く消費電力が大きいため,コンピューターの回路素子に用いられなくなり,回路素子の主流はトランジスターとなった。トランジスター式コンピューターは59年に東芝のTOSBAC2100型,日立製作所のHITAC301型,日本電気のNEAC2203型が開発され,60年沖電気工業のOKITAC5090型,61年富士通のFACOM222型が開発され,これらは証券会社や商事会社,生命保険会社などに納入された。なかでも1960年完成の日本最初のオンライン・リアルタイム・システムである国鉄の自動座席予約装置,MARS‐1は,最新のコンピューター利用法として評判が高かった。…

※「日本電気」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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