日本大百科全書(ニッポニカ) 「日清食品」の意味・わかりやすい解説
日清食品(株)
にっしんしょくひん
スナック麺(めん)のトップ企業。1948年(昭和23)大阪で中交総社(翌年サンシー殖産と改称)を設立した安藤百福(ももふく)(1910―2007)が、家庭で簡単につくれるラーメンを開発して、1958年に即席麺「チキンラーメン」を発売した。サンシー殖産を日清食品と改称して即席麺の製造販売にあたり、高度経済成長を背景にインスタント食品ブームを作り出し、その後も各種の即席麺を発売した。1971年には、袋麺市場の成熟に対し、カップ容器入りインスタントラーメンとして最初の「カップヌードル」を発売、おいしさと手軽さで、またたく間に市場に定着した。同社は1970年以降、アメリカ日清社設立を皮切りに、相次いで海外工場を建設し、海外進出も積極的に展開した。生タイプ即席ラーメンを発売するとともに、チルド事業、冷凍食品事業、外食事業などの分野で新たな企業をグループに加えている。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))とともに宇宙食ラーメン(「スペース・ラム」)の開発を行い、これは2005年7月に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭載された。2008年10月、日清食品ホールディングスに商号変更して持株会社へ移行し、即席麺事業、チルド食品事業、冷凍食品事業、事務管理業務を、それぞれ新設したグループ会社に分割した。即席麺事業を継承した日清食品の資本金50億円(2008)、日清食品ホールディングスの売上高3582億円(2008。連結ベース)
[中村青志]
『日清食品株式会社社史編纂室編『食足世平――日清食品社史』(1992・日清食品)』