東シナ海(読み)ひがしシナかい

百科事典マイペディア 「東シナ海」の意味・わかりやすい解説

東シナ海【ひがしシナかい】

中国では東海という。北を日本の九州,大韓民国の済州島,中国の揚子江河口を結ぶ線,東を南西諸島,台湾,西を中国本土で囲まれた海域。面積120.2万km2。最深部は宮古島,石垣島の北沖で,2292m,平均60〜200mで底引網の好漁場。東側を黒潮分流が北流,大陸側は沿岸流が南流。近年,中国はこの海域を〈国家核心利益〉と位置づけ,軍事的プレゼンスを強めている。南西部に位置する尖閣諸島について中国は領有権を主張,2012年8月に日本が国有化したことに強く反発して,監視船を頻繁に日本の領海接続水域に送り続け,2015年4月段階でも緊張が続いている。尖閣諸島には魚釣島(3.82km2)のほか久場島(黄尾(こうび)礁),大正島(赤尾礁),南小島,北小島(尖閣5島)などがあり,2012年に新たに国有化されたのは魚釣島,南小島,北小島の3島で大正島はもともと国有地,久場島は私有地である。米国政府は〈領土問題に関しては中立〉を表明しつつ,尖閣諸島が日米安保協定の範囲に含まれるとし,中国の行動を牽制(けんせい)している。しかし,米国は沖縄返還以降も今日に至るまで,久場島,大正島を米海軍射爆場(1979年以降は使用していない)として排他的管理の下に置いたままであって,この点で米国が〈領土問題に関して中立の立場〉でないことは明白であり,〈表明〉は矛盾している。〔東シナ海ガス田〕 2004年東シナ海で中国がガス田(春暁,平湖など)開発をすすめていることがわかり,同地域が日中の中間線に近接しているため,日本はその鉱区地下で日本側にも広がっている可能性を指摘し,独自の調査に着手するとともに,中国側に鉱区データの提供などを求めているが中国は応じていない。→白樺ガス田

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改訂新版 世界大百科事典 「東シナ海」の意味・わかりやすい解説

東シナ海 (ひがしシナかい)
East China Sea

中国大陸の東,琉球諸島とのあいだの海洋をいう。北は長江(揚子江)河口と済州島を結ぶ線,南は広東北部の南澳島(なんおうとう)と台湾南端を結ぶ線で画される。中国では,東海と呼ばれ,黄海,南海(南シナ海)と並んで三大辺縁海の一つとされる。面積は約75万km2。平均深度は約350m,主として浅い大陸棚であるが,琉球諸島の西は海溝をなし,最深部は2780mに達する。沿岸部はリアス海岸をなし,優良な港湾や漁場が多い。また大陸棚の海底には豊富な資源の存在が予想され,とくに尖閣(せんかく)諸島(釣魚島(ちようぎよとう))付近の石油は日中両国から関心をもたれている。
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