技術開発、部品生産、組み立て、販売、アフターサービスなどの業務ごとに、別々の企業(グループ)が得意分野をそれぞれ受け持つビジネスモデル。同一製品で、設計、試作、量産などを複数企業が分担することも、水平分業とよぶ。開発・生産・販売などを単一企業が担う場合は「垂直統合」という。水平分業には、得意分野に特化することで収益を確保しやすいうえ、過剰投資などのリスクを抑えられる利点がある。多様化する需要に応じて、他企業が手がけていない隙間(すきま)をねらうニッチ戦略をとりやすく、新規事業の創出を期待できる面もある。半面、大きな市場シェアを確保することがむずかしく、得意分野が限られているため経営環境の激変についていけないという弱点がある。情報通信、鉄道、郵便、電力などの民営化・規制緩和は、統合されていた事業を分離・分割する動きととらえることができ、水平分業の一形態とみることができる。
ビジネスモデルの流行は、技術革新、産業構造転換、国際情勢変化などに伴って、水平分業と垂直統合の間を行き来している。たとえば情報技術(IT)分野では、かつてアメリカのIBM社が設計、ハード製造、ソフト開発、販売までを一手に担う垂直統合型経営モデルで世界市場を席巻(せっけん)していた。その後、パーソナルコンピュータ(パソコン)やデジタル家電の登場で、開発途上国などでもIT製品を容易に製造できるようになり、半導体素子、基本ソフトなどを得意とするインテル社やマイクロソフト社といった企業群が国際的に業務を分担する水平分業が全盛となった。
なお似通った概念に水平統合があるが、これは特定業務を担う複数企業が合併・統合・協力などによって一体化することをさす。同一の製品やサービスを提供する企業の連携や、製品の共同配送などが水平統合にあたる。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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