海上に設置した巨大風車で発電する方式。電気は海底ケーブルを使って陸上に送る。風車の土台を海底に固定する「着床式」が世界の主流だが、日本は遠浅の海が少なく設置場所が限られるため、海に浮かべて発電する「浮体式」の普及が期待されている。政府は洋上風力を再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」に位置付け、促進区域を設けるなどして開発を後押ししている。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
再生可能エネルギーの一つである風力発電は、風のエネルギーを風車の回転エネルギーに変えて発電を行うものだが、その発電設備を陸上ではなく、海洋上などに設置する風力発電設備のこと。発電設備を海底に固定する着床式と、固定せず設備を洋上に係留する浮体式の二つのタイプの風力発電がある。前者は遠浅の海洋域でおもに利用され、後者は水深50メートル以上の深度の海域等で用いられることが多い。
現在、世界で急速に普及する再生可能エネルギーのうち、主力は太陽光発電と風力発電である。どちらも日照や風況などの自然条件に発電が大きく左右される特徴をもつ。日本ではこれまで太陽光発電の普及が大きく進んできたが、国土が山がちという制約もあり、太陽光パネルを設置する適地には限界がある。また風力発電については風況に恵まれた陸上地域が限定的で、かつエネルギー需要地から遠いことなどの課題がある。また、相対的に洋上のほうが風況が安定的によい場合も多い。そこで、四方を海に囲まれている日本において、将来の再生可能エネルギー拡大に関して洋上風力への期待が高まっている。
第6次エネルギー基本計画では2030年の電源構成目標が示され、そのなかで再生可能エネルギーのシェアは36~38%と設定された。その中心は太陽光発電であり、次いで増加が見込まれるのが陸上風力発電となっている。洋上風力発電は、現状では固定価格買取制度(FIT制度)の設備認定済みの能力も含め、70万キロワット程度の小規模な能力にとどまっているが、経済産業省は今後の政策強化で2030年に370万キロワット程度にまで増強する、との目標を示している。また、長期的には洋上風力発電がさらに大幅に増加し、2050年のカーボンニュートラル目標達成のためには「切り札」になる、との期待も示されるようになっている。2020年(令和2)12月に発表された官民協議会による「洋上風力産業ビジョン(第1次)」案では、2040年までに3000~4500万キロワットの洋上風力案件を形成する、との目標も示された。今後、洋上風力発電が大きく拡大していくためには、供給コストの大幅削減、浮体式にシフトしていく場合に必要な設備の大型化に対応した信頼性の向上、社会受容性の確保、電力網の整備等が重要になる。
[小山 堅 2022年1月21日]
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