潮流(読み)チョウリュウ(英語表記)tidal current

デジタル大辞泉 「潮流」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐りゅう〔テウリウ〕【潮流】

潮の流れ。海水の流れ。特に、潮汐ちょうせきによって生じる海水の流れ。
時勢の動き。時代の傾向。「時代の潮流に乗る」
[類語](1海流暖流寒流渦潮潮目潮境黒潮親潮日本海流対馬海流千島海流

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「潮流」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐りゅうテウリウ【潮流】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 潮の流れ。海水の流れ。〔南斉書‐武帝紀〕
  3. 潮汐によって生じる海水の水平運動。速度・方向は周期的に変化し、鳴門海峡・来島海峡などでは強い流れが見られる。
    1. [初出の実例]「今の航海は迂遠の路を取ると雖、潮流風信の天然に随ふが故に其達すること却りて速なり」(出典:日本読本(1887)〈新保磐次〉一)
  4. 時勢の動き。世間のなりゆき。また、ものごとの傾向。
    1. [初出の実例]「一人の智略を以て之を転覆し其潮流を返動せしめしこそ」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「潮流」の意味・わかりやすい解説

潮流 (ちょうりゅう)
tidal current

潮汐に伴う流れを潮流といい,黒潮などの海流と区別される。潮汐により水位が時間とともに変化するのにつれて,潮流も変化する。水位の記録を調和解析して,半日,1日,およびそれより長い周期をもつ多くの分潮に分けるように,潮流記録についても,その東西成分,南北成分などを調和解析して,多くの分潮流に分ける。各分潮の東西および南北成分を合成した流速ベクトルは,時間とともに変化し,その基点を1点にそろえたときにその先端が描く曲線,すなわちホドグラフは楕円となる。これを潮流楕円という。外洋深海では一般にこれは細長くなり,直線に近づき,流れがある一定方向上で変化することを示す。各点での各分潮流は,深さによってはあまり変わらない。しかし内部潮汐が起こっている場合には,それによる流れも加わり,各分潮流は深さに対し複雑に変化する。各地の湾に設けられた定置網漁場などで,上層下層間で反対向きの潮流が生じ網に損傷を与えたりする二重潮は,内部潮汐による。内部潮汐は外洋でも起こり,それに伴う潮流は海水の混合に大きな役割を果たしているとみられる。潮汐は河口から河床に沿って河川をはい上がる(感潮河川)。この場合,上層は河川水の流れであり,下層は海水の流れであって,海水がくさび状に遡上する(塩水くさび)。海峡や内海の潮流の発生には,海峡や内海の出入口の両側に位置する外洋の潮汐に伴う水位差が大きな役割を果たすことが多い。その潮流の速さが10ノット(毎秒約5m)にも達する所がある。潮流の速い所として,日本では,関門海峡,鳴門海峡,来島海峡などがある。

 潮流は潮汐に伴うものであり,潮汐が規則的な現象であり,その予報ができるように,潮流も割合に規則的であって,その予報ができる。ただし,潮流は潮位に比べ,その場所およびその周辺の陸岸や海底の地形および内部潮汐,慣性流などの影響をより大きく受けるので,地理的にも時間的にもより不規則に変化する。したがって予報の精度は落ちる。
潮汐
執筆者:


潮流 (ちょうりゅう)

1946年1月,吉田書房(のち潮流社)から発行された月刊総合雑誌。群馬県伊勢崎市の印刷工場主吉田庄蔵の手で創刊された。創刊号の特集テーマは〈日本民主主義は如何に確立すべきか〉であった。その後も毎号特集形式をとり,井上晴丸宇佐美誠次郎の共同研究《国家独占資本主義論》は,のち単行本にまとめられ話題となった。しかし,第2次大戦の敗戦直後の民主主義昂揚期がもたらした総合雑誌ブームが去った50年3月号で廃刊となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「潮流」の意味・わかりやすい解説

潮流【ちょうりゅう】

潮汐(ちょうせき)に伴って起こる海水の周期的な水平運動。海岸付近または海峡の潮流はほぼ一定の方向,およびそれと逆の方向に流れ,周期的に流向を転ずる。これを転流といい,転流に際して海水がほとんど流れないときのことを憩流という。多くの場所では1日に一方向に2回,反対方向に2回流れ,憩流が4回あり,転流から転流までは平均して6時間12分。特殊な場所では憩流が2回しかない。沖合では潮流は時とともに流向,流速を変じ,左回りまたは右回りに回転して憩流を示さない。多くの場所では流向は1日に2回転し,1回転に要する時間は平均して12時間25分。ところによっては1日に1回転しかない。潮流の性質は海底および海岸線の地形によって著しく影響を受ける。潮流の変化の周期は潮汐の周期と同一であるが両者の関係は複雑である。海岸近くでは満干潮時にほぼ一致して転流する場合と一定の時間ずれののち転流する場合とがある。
→関連項目潮汐摩擦潮流信号所

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「潮流」の意味・わかりやすい解説

潮流
ちょうりゅう
tidal current

地球と月・太陽の間の引力遠心力によって海水に起潮力が働き、海水は水平方向に引っ張られて動く。この動きが潮流である。海水はある場所には集まって海面を高め(上げ潮)、別の場所では流れ去って海面を下げる(下げ潮)。海水が起潮力によって上に引っ張られて海面を高めるのではない。海面の高さの変化が潮汐(ちょうせき)であり、それを引き起こす海水の水平方向の動きが潮流だから、潮流も潮汐ももとは同じ現象である。潮流の速さは、外洋では毎秒10センチメートル程度であるが、陸の近くでは地形の影響を受けて毎秒1メートル以上になる所もある。海流と違って、潮流は速さも向きも決まった周期で変わる。また、基本としては、海面から海底まで同じ速さで同じ向きに流れる。

[高野健三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「潮流」の読み・字形・画数・意味

【潮流】ちようりゆう(てうりう)

潮の流れ。宋・梅尭臣〔淮上雑詩、六首、六〕日看(みるみる)已に昏(く)る 漁灯く相ひ向ふ 夜闌(ふ)けて、天轉(うた)たし 坐しての漲(みなぎ)るを待つ

字通「潮」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android