熱海市(読み)アタミシ

デジタル大辞泉 「熱海市」の意味・読み・例文・類語

あたみ‐し【熱海市】

熱海

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「熱海市」の解説

熱海市
あたみし

面積:六一・五五平方キロ

静岡県の東端、伊豆半島の北東岸にあり、東は相模湾に面し、北・西・南の三方を山々に囲まれる。北は千歳ちとせ川を県境として神奈川県足柄下あしがらしも湯河原ゆがわら町、西は田方たがた函南かんなみ町・韮山にらやま町・大仁おおひと町、南は伊東市と接する。急峻な地形のため平坦地が少なく、町のほとんどは山の斜面を利用して広がり、平地は海岸近くに少ししかない。海岸沿いに国道一三五号が走る。富士箱根伊豆国立公園のなかにあり、古くから自然に恵まれた温泉保養地として知られた地域である。

〔原始・古代〕

山地にわずかに縄文時代の遺跡が残され、海辺の狭い空間に弥生時代や古墳時代の遺跡がみられる。旧石器時代後半期としていずみ区の大越おおごし遺跡、縄文時代として関東地方の北東部に多いとされる土器が発見された初島宮前はつしまみやまえ遺跡がある。市街地の水口みなぐち遺跡からは九世紀代の緑釉陶器(美濃産)が発見され、この遺跡の経済力が注目される。古代は田方郡に属し、平城京跡出土木簡によると天平七年(七三五)に同郡「有雑郷多賀里」から荒堅魚が貢納されているが(「平城宮木簡概報」二二―二六頁)多賀たが里は現在の上多賀・下多賀に比定される。「和名抄」に載る田方郡直見たたみくずみ有雑うさい郷を当市域に比定する説もある(静岡県史)。伊豆山(走湯山、伊豆山神社)の原始信仰は日金ひがね山と走湯信仰に海上漂着神が加わってできたもので、山林仏教の力によって広がり、熊野信仰の影響を受けたと考えられる。熱海温泉はおお湯とはしり湯が古く、平安時代以前から存在していたとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱海市」の意味・わかりやすい解説

熱海〔市〕
あたみ

静岡県東部,伊豆半島の基部,相模灘に面する温泉都市。 1937年市制。 57年網代町を編入。南,西,北の3方に多賀 (熱海) 火山の外輪山があり,東は急斜面で相模湾にのぞむ。海上約 10kmのところに初島がある。温泉は熱海七湯と呼ばれ,江戸初期に江戸城に湯を送った湯戸 (湯亭) を中心に発達。明治以後はおもに京浜地区からの湯治客に利用され,尾崎紅葉の小説『金色夜叉』で全国に知られた。 1925年の熱海線,34年の丹那トンネルの開通により急速に発展。 50年の大火後,国際観光温泉文化都市建設法の施行都市となる。中心市街地をなす熱海温泉のほか,伊豆山,網代の各温泉群があり,西の別府と並んで日本を代表する温泉都市となっている。お宮の松,錦ヶ浦の断崖坪内逍遙の双柿舎,梅園,伊豆山神社,来宮神社,十国峠,初島などの名所がある。国宝を所蔵する MOA美術館,ゴルフ場などの娯楽施設や観光施設,伊豆スカイラインや熱海新道などのドライブウェーも完備。阿豆佐和気神社の大クスは天然記念物。東海道新幹線,JR東海道本線,伊東線,国道 135号線が通る。市域の一部は富士箱根伊豆国立公園に属する。面積 61.78km2。人口 3万4208(2020)。

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