昭和期の小説家
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小説家。岡山県生れ。慶応大学仏文科中退。小学校の代用教員,新聞記者生活などのかたわら創作に励み,1921年文壇的処女作〈舌〉を《人間》に発表し,以後作家生活に入る。24年,横光利一,川端康成らと同人誌《文芸時代》を創刊,既成文壇打倒を目ざし,新感覚派の論客として花々しい活躍をはじめた。この時代の代表的小説集に《綱の上の少女》(1927)がある。激動の昭和のはじめに左傾し,旧労農党に入党。また全日本無産者芸術連盟(ナップ)に加わり,《生ける人形》(1928),《綾里村快挙録》(1929)で,プロレタリア作家としての力量を示す。のち検挙され転向,以後通俗小説に活路を見いだしたものの,晩年は総じて不遇であった。
執筆者:関口 安義
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小説家。岡山県に生まれる。中学時代は投書家として活躍。慶応義塾大学仏文科予科中退後、新聞社等を転々とする間に書いた『舌』が認められ、1921年(大正10)作家生活に入る。24年横光利一(よこみつりいち)らと『文芸時代』を創刊し、新感覚派の作家・論客として脚光を浴びる。軽快な新感覚的文体による『綱の上の少女』(1927)がこの期の代表作。27、28年(昭和2、3)ごろから左傾し、『綾里(あやさと)村快挙録』(1929)などのプロレタリア作品を発表するが、32年転向を表明し、以後は『朱と緑』(1936)などの大衆小説を書いた。
[高橋真理]
『『鉄兵傑作全集』全八巻(1936~37・非凡閣)』▽『『日本の文学79 名作集 三』(1974・中央公論社)』
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…この映画が,当時〈危険思想〉といわれた社会主義的イデオロギーにつらぬかれているということから,初めて〈イデオロギー映画〉あるいは〈傾向映画〉と呼ばれた。しかし,〈傾向映画〉ということばが真にジャーナリズムに乗るのは,プロレタリア作家,片岡鉄兵(1894‐1944)の新聞連載小説を映画化した内田吐夢監督の《生ける人形》(1929)がヒットしてからである。左翼思想といっても時流に乗った形式的なものであったと内田吐夢はのちに回顧しているが,地方から東京へ出てきて打算的な立身出世主義を処世哲学とする野心的な1人の青年が,生きている人形のように翻弄(ほんろう)される無残な姿を描いて,資本主義社会の巨大なからくりと冷酷さをあばいた映画であった。…
※「片岡鉄兵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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