対面せずに電話で相手を信じ込ませ、銀行口座に振り込ませるなどして金を詐取する犯罪の総称。2002年ごろ登場した「おれおれ」の手口が最初とされ、03年に全国で急増し社会問題化した。現在は「架空料金請求詐欺」や「還付金詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」など計10類型に分類されている。犯罪グループは、電話でだます「かけ子」、現金を受け取る「受け子」、口座から引き出す「出し子」などに役割を分担する。統計がある04年以降で認知件数は04年の2万5667件、被害額は14年の565億5千万円が最多。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
不特定多数の人に、電話、メール、郵便などを使って虚偽の話を信じ込ませ、金品をだまし取る詐欺の総称。警察庁は特殊詐欺を、(1)子や孫を装い困窮したという虚偽の話でだまし取る「オレオレ詐欺」、(2)預貯金をねらってキャッシュカードなどをだまし取る「預貯金詐欺」、(3)キャッシュカードなどをすり替えて盗み取る「キャッシュカード詐欺盗」、(4)架空サイトの請求でだまし取る「架空料金請求詐欺」、(5)税金・保険料などの還付のためと騙(かた)ってATM(現金自動預金支払機)を操作させ犯人側の口座に振り込ませる「還付金詐欺」、(6)融資の際の保証金名目でだまし取る「融資保証金詐欺」、(7)未公開株などの儲(もう)け話でだまし取る「金融商品詐欺」、(8)ギャンブル必勝法などの情報料名目でだまし取る「ギャンブル詐欺」、(9)異性との交際の会員登録料などの名目でだまし取る「交際あっせん詐欺」、(10)上記に当てはまらない「その他の特殊詐欺」、の10手口に分類している。高齢者の被害が多く、改元に便乗したキャッシュカード詐欺盗や新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)流行下での還付金詐欺など、時事・社会的出来事にあわせて新手の手口が現れる特徴がある。犯人グループが警察官、銀行員など複数人物になりすまして信じ込ませる劇場型詐欺が増え、少年や外国人がかかわったり、暴力団が関与したりするケースもある。マニュアルを作成して詐欺の訓練をし、相手の現金保有状況などを探る予兆電話をかけたり、IP電話を悪用するなど、手口は多様化・巧妙化している。
古くから電話・電報を使った詐欺は存在したが、バブル経済が崩壊した1990年代に「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」などとよばれて社会問題化し、2004年(平成16)に警察庁は「振り込め詐欺」に名称を統一した。当初、電話など非接触でだまし取る手口が多かったが、直接現金を受け取る手口も増え、2011年から特殊詐欺という用語を使っている。警察庁によると、2021年(令和3)の特殊詐欺の被害額は約282億円、認知件数は1万4498件で、被害額はピーク時(2014)から半減したが、件数は1万5000件前後で高止まりしている。とくにオレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗の3手口をあわせた「オレオレ型特殊詐欺」は、特殊詐欺件数全体の過半を占めている。
[矢野 武 2022年8月18日]
(2015-12-25)
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