ある社会あるいは集団の成員が共有している生活の営み方,とくに人間の基本的活動である生産(仕事),消費(余暇),再生産(家族生活)の本質と関係について共有している認識と行動の枠組みのこと。このような生活様式が民族や時代の違いによっていかに相違するものであるか,また,それだけに生活様式の洞察が異文化理解にとっていかに重要であるかはあらためていうまでもない。ところで,同じ民族や国民社会の内部でも,社会的分化が進み,階級や階層間の格差が拡大し,価値観が多様化してくると,階級や世代や文化の共有を基盤とした独自の生活様式が出現することになる。その場合,生活様式の類似を決定するのは,成員が社会あるいは集団の中で占めている客観的な社会的・経済的地位とされていた。すなわち,その人間が保有する資産,職業,所得などの類似が,生活手段と消費様式の類似をもたらし,ひいては,この保有率の大小が生活様式の帯びる威信をも規定するものと考えられていた。
ところが,先進的産業社会で,〈豊かな社会〉が出現し,こと消費に関するかぎり階級間格差が縮減し,国民の〈総中流的大衆化〉の現象が露顕するに及んで,社会的・経済的地位の規定力がいちじるしく低下することになった。それに代わって登場したのが,本人の選択する主体的決断と価値観である。従来の産業社会では,生産,消費,再生産の関係は,勤労倫理という生産領域の原理によって調和的に統轄されていた。ところが,〈豊かな社会〉では,この勤労のエートスに代わって,余暇の偶像が人々をとらえはじめている。しかも,勤労のエートスが生み出した生産主義や業績主義そのものの価値が根底的な懐疑と批判にさらされている。ここから,自立した能動的な個人による〈本来的authentique〉生活の選択という課題が人々を覆いはじめている。生活様式ということばに代わって,〈生きざま〉(ライフスタイル)ということばが用いられはじめているのも,この間の変化を物語るものである。
執筆者:高橋 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…人々の生活様式,行動様式,思考様式といった生活諸側面の社会的・文化的・心理的な差異を全体的な形で表現したことば。当初,その考え方は社会学の分野で使われてきたが,今日ではマーケティングの分野で頻繁に使われるようになっている。…
※「生活様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新