日本大百科全書(ニッポニカ) 「男女群島」の意味・わかりやすい解説
男女群島
だんじょぐんとう
長崎県五島列島(ごとうれっとう)福江(ふくえ)島の南西72キロメートルの東シナ海に浮かぶ島嶼(とうしょ)群。全島五島市に属する。男島(おしま)、女島(めしま)のほか、クロキ島、ハナグリ島、寄(より)島と岩礁からなる。面積約5平方キロメートル。第三紀の堅硬な溶結凝灰岩からなる丘陵地で、全島が柱状節理の発達した海食崖(がい)に囲まれている。対馬(つしま)暖流の進路にあたり、近海の透明度は50メートルで明るく、イシダイ、フエフキダイなどの魚族に恵まれ、またサンゴの生息地で、明治末年以来、富江(とみえ)を基地としたサンゴ採取船が遭難した歴史を有する。一方、東シナ海を渡る渡り鳥の拠点をもなしている。全島が無人島だが、女島の屏風ヶ浦(びょうぶがうら)断崖上には標高119メートルの灯台があり、航海を守るととも、職員が常駐し気象通報などの業務が行われていたが、2006年(平成18)に自動化され無人となった。男島の真浦(まうら)には漁港施設の名残(なごり)はあるが常住人口はない。全域が国の天然記念物(天然保護区域)に指定されており、動植物の採取はもちろん、許可なく上陸したり操業することも禁じられている。国の天然記念物および特殊鳥類に指定されるアカヒゲなど、貴重な動植物が生息する。
[石井泰義]