国や地方自治体、地域の組織などが、社会的に大きな影響を与える可能性のある新たな制度や技術などの施策を導入する前に、実際に試行し、評価すること。道路や交通、生活環境などの分野において実施されることが多く、現状の課題や将来像を明確化したうえで、期間や場所を限定して行われる。実験では導入費用や効果、改善点や中止箇所などについて、利用者や関係者、地域住民の意見などに基づいた評価・分析が行われ、本格実施、見直し、中止を判断する重要な材料となる。PDCAサイクルを代表する手法の一つである。一方、現状より悪い結果を生むことや、不利益や損失の程度を知るために行われる社会実験は、負の社会実験という。
世界的には、1960年代以降に行政による政策管理や企業管理の手法としてさまざまな社会実験が行われるようになった。国の政策の判断材料とするために大規模な社会実験が行われた例としては、1968~1972年にアメリカ連邦政府が税と労働意欲の関わりを検証した「ニュージャージー負の所得税社会実験」が最初であったとされる。日本では、1999年度(平成11)に建設省(現、国土交通省)道路局が、社会実験の公募制度を導入したことにより本格的に行われるようになった。これは関係者で構成される協議会が社会実験の主体となり、地域住民との協働によって実験を進めるための制度である。これまでに高速道路の料金体系やスマートインターチェンジをはじめ、地域特性を考慮する必要性の高いパーク・アンド・ライド、自転車走行空間の創出などといった社会実験が実施された。
[編集部]
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