社外監査役(読み)シャガイカンサヤク

デジタル大辞泉 「社外監査役」の意味・読み・例文・類語

しゃがい‐かんさやく〔シヤグワイ‐〕【社外監査役】

監査役による企業経営の監督強化するために、社外から選任される監査役。過去にその会社または子会社業務に携わったり、会計参与となったことのある人は社外監査役になれない。→監査役会設置会社

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「社外監査役」の意味・わかりやすい解説

社外監査役
しゃがいかんさやく

株式会社の監査役のうち、所定の要件に該当する社外役員。監査役3人以上で組織される機関を「監査役会」といい、監査役会を置く株式会社または会社法規定により監査役会を置かなければならない株式会社を監査役会設置会社という。そして監査役会設置会社の監査役の半数以上は「社外監査役」でなければならないとされている(会社法335条3項)。社外監査役の制度は、業務執行担当者の影響を受けるおそれのない者を監査役に迎えて監査の独立と公正を図るために導入されている。

 ここに、社外監査役とは、株式会社の監査役であって、次の要件のいずれをも満たす必要がある(同法2条16号。なお、同条同号は2014年会社法改正により、社外監査役の要件を厳格化した)。

(1)就任前10年間、当該株式会社またはその子会社の取締役会計参与(法人のときは、その職務を行うべき社員)・執行役・支配人その他の使用人であったことがないこと。

(2)就任前10年内のいずれかのときにおいて当該株式会社またはその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任前10年間、当該株式会社またはその子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人その他の使用人であったことがないこと。

(3)当該株式会社の親会社等(自然人に限る)または親会社等の取締役・監査役・執行役・支配人その他の使用人でないこと。

(4)当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社およびその子会社を除く)の業務執行取締役等でないこと。

(5)当該株式会社の取締役・支配人その他の重要な使用人または親会社等(自然人に限る)の配偶者・二親等内の親族でないこと。

 なお、監査役会設置会社では、その旨および社外監査役である者の氏名は登記事項である(同法911条3項18号)。

[福原紀彦 2017年12月12日]

『鳥山恭一・福原紀彦・甘利公人・山本爲三郎・布井千博著『会社法』第2次改訂版(2015・学陽書房)』『江頭憲治郎著『株式会社法』第6版(2015・有斐閣)』『神田秀樹著『法律学講座双書 会社法』第19版(2017・弘文堂)』『福原紀彦著『企業法要綱3 企業組織法――会社法等』(2017・文眞堂)』

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百科事典マイペディア 「社外監査役」の意味・わかりやすい解説

社外監査役【しゃがいかんさやく】

監査の実効性を図るため,大会社に選任が義務づけられる会社の経営陣から独立した監査役。現在,その要件は過去に,会社またはその子会社の取締役,執行役もしくは支配人その他の使用人となったことがない者とされる(会社法2条16号。会社法で定める会計参与も含まれる)。
→関連項目商法特例法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社外監査役」の意味・わかりやすい解説

社外監査役
しゃがいかんさやく

株式会社の経営監査機能を強化するため,企業外の第三者が独立性と客観性をもって就任する監査役。 1993年の商法改正とともに大企業に選任が義務づけられた。資本金5億円以上または負債総額 200億円以上の企業が対象となる。そうした企業では3人以上の監査役のうち1人以上は社外の人物でなければならないとされる。ただし,就任以前の5年間に当該会社もしくは子会社の取締役などでなかった者も社外扱いとされる。企業の不祥事が相次いだことや日米構造協議でアメリカ側から導入を求められたという背景があるが,「社外」の規定の曖昧さなどもあって,十分に機能を発揮できるか疑問視する向きもある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「社外監査役」の解説

社外監査役

日本では、取締役、代表取締役をチェックする機関として監査役の設置が義務付けられている。しかし監査役は、「取締役会とのつながりが強すぎる」「代表取締役に対する立場が弱い」など問題点が多く指摘されてきた。そのため1993年の商法改正では、監査役の機能の強化が図られた。大会社は監査役会の設置が義務付けられ、監査役の発言権が強化された。加えて大会社では、最低1人の「社外監査役」を設置することが規定された。社外監査役は「就任前5年間、会社または子会社の取締役、従業員でなかったもの」でなければならない。社外監査役には会社からの独立性が確保された監査が期待されている。

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人事労務用語辞典 「社外監査役」の解説

社外監査役

公正な視点で会社の会計と業務が適正であるかどうか、調査をする役職で、社外の役員が担当します。取締役の違法行為で会社が著しい損害を受ける場合など、それを差し止める権限も持ちます。
(2006/9/15掲載)

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