改訂新版 世界大百科事典 「竹中工務店」の意味・わかりやすい解説
竹中工務店[株] (たけなかこうむてん)
建設大手5社の一つ。建築専業といってよいほど建築部門の比重が高い。非上場。本社大阪市中央区。同社の起源は,織田信長の普請奉行を務めていた竹中藤兵衛正高が,織田氏滅亡後社寺の造営を業としたことに始まるといわれる。1610年(慶長15)の名古屋開府により竹中家は本拠地を清洲より名古屋に移し,神社仏閣の造営を主業とした。明治に入り洋風建築の新分野にいち早く着目,民間工事に専念する独自の路線で飛躍する。1899年14代竹中藤右衛門は関西進出を決意して神戸に支店を設け,この年を同社の創立の年とした。1909年個人企業から脱して合名会社竹中工務店を設立,神戸を本店とする。23年本店を大阪に移し,37年には(株)竹中工務店を設立した。この間新しい建築技術開発に力を注ぎ,38年には名高い〈竹中式潜函工法〉を実用化し,〈地下建造物沈下工法〉として特許を取った。第2次大戦後は過度経済力集中排除法の適用を免れ,占領軍の工事を中心に復興する。とくに昭和30年代後半以降は,創業以来の〈設計施工一貫方式〉をさらに組織的に推し進め,その技術力と設計能力は高い評価を得るに至った。1979年には建築業界として初めてのデミング賞を受賞。東京ドーム,福岡ドーム,六本木ヒルズなどの建設で知られる。資本金500億円(2004年3月),売上高1兆0225億円(2004年12月期)。
執筆者:中山 裕登
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報