銀行本体の設立根拠が国内法に準拠する普通銀行を国内銀行とよび、そのなかでも、一般社団法人第二地方銀行協会の会員となっている、地域に営業地盤を置く銀行を第二地方銀行とよぶ(2020年3月時点で38行)。第二地銀、地銀Ⅱともよばれる(以下、地銀Ⅱ)。歴史的にみると、地銀Ⅱは相互銀行や信用金庫から普通銀行に転換した銀行である(現在の38行はすべて相互銀行からの転換)。
金融制度調査会(現、金融審議会)は1988年(昭和63)6月9日に、「相互銀行のあり方について」と題する答申を当時の大蔵大臣に提出した。同答申は「合併転換法」(正式名称は「金融機関の合併及び転換に関する法律」)に基づいて、限りなく一斉転換に近い形で個別の相互銀行が普通銀行に転換することを提言。翌1989年(平成1)2月1日から順次、普通銀行に転換を図った。その理由として、相互銀行が普通銀行に転換することによって体力をつけることが、地域金融の活性化、中小企業金融の充実につながることをあげている。この答申に沿って3回にわたって転換が進められ、1行を除いてすべて普通銀行に転換した。1992年、最後に残った東邦相互銀行も伊予銀行に吸収合併されたため、相互銀行は姿を消すことになり、金融制度上でも相互銀行法が廃止されるに至った。
地銀Ⅱは、都市銀行や地方銀行に比べると規模は小さい傾向にあり、顧客も大半が中小企業である。預貸率(預金残高に占める貸出残高)をみると、都市銀行や地方銀行よりも高く75%前後(2019年時点)となっており、伝統的な銀行のビジネスモデルを現在でも維持している。ただし、従来は都市銀行や地方銀行に比べて高い貸出利鞘(りざや)を確保できていたものの、長期化する低金利環境のもと、貸出利鞘が年々縮小し、収益性の低下に苦しむ傾向がみられる。このような環境のなかで、地方銀行などの異業種との各種連携を通じた事業効率化を進める地銀Ⅱが増えている。
[平田英明 2020年10月16日]
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