線引き(読み)センビキ(その他表記)wire drawing

デジタル大辞泉 「線引き」の意味・読み・例文・類語

せん‐びき【線引き】

[名](スル)
線を引くこと。
計画・予定などを図面・グラフ上に線を引いて表すこと。「都市再開発線引きが遅滞する」
日限数量などを区切ること。また、物事境界を決めて分けること。「合格者を5人までと線引きする」「公私線引きを図る」
ダイスを使って線材を引き抜き、直径を細くして長さを伸ばす加工法。
都市計画において、都市計画区域市街化区域市街化調整区域とに区分すること。法律上は「区域区分」という。→非線引き区域

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「線引き」の意味・わかりやすい解説

線引き
せんびき
wire drawing

金属線材をダイスを通して引抜いて線に仕上げる方法。抽線ともいう。仕上げ寸法形状を正確にするためダイスは硬質で靭性があり,摩耗に強いことを要し,以前はチルド鋳物なども使われたが,現在は特殊なダイス鋼,超硬合金,ダイヤモンドの使用が増している。強加工で摩擦発熱が大きいから,線材はあらかじめ酸洗いと中和で表面を清浄にして,ダイスへ入れる前に石灰石鹸液,油脂などの潤滑剤の中を通す。リン酸皮膜をつけることもある (→パーカライジング ) 。伸線中必要ならば中間熱処理またはパテンティング処理を施し,数回のダイス通過で線径を細くする。近来は連続的にダイスを通す連続式が多くなった。仕上げダイスのときは石鹸油剤を注ぐ湿式線引きとする。1回のダイスによる断面縮小率は普通鋼材で 15~30%,伸線速度毎分 50~600mである。大径の線引きでは熱間加工のこともあり,近年はローラを用いる熱間連続圧延伸線方式が増加している。小径の線に対する冷間ローラ・ダイス伸線もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「線引き」の意味・わかりやすい解説

線引き
せんびき
wire drawing

線材(針金ワイヤ)の直径を細くし長さを伸ばす金属加工の一種で、伸線加工ともいう。電線の加工が代表的である。この加工に用いられる工具はダイスとよばれ、厚い円板の中央にあけた円錐(えんすい)形の小穴を通して針金を引き抜くことによって細くする。人間が動力の利用を知る以前はカシの板にあけた小穴を通して人力で引き抜いたという記録もあるが、現代の線引き機械では、ダイスを通した針金をドラムとよばれる巻き胴に巻き付けておき、このドラムを回転させることによって針金に引張り力を加え、連続的に引抜きが行えるような構造になっている。線材の直径は大は10ミリメートルから小は0.01ミリメートルと広範囲にわたっている。1回の引抜きで達成できる直径減少には限度があるので、所定の線径にするには数回から20数回の繰り返し引抜きを行う。引抜き速度は銅線の場合、毎分2000メートルにも及ぶ。

[高橋裕男]

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世界大百科事典(旧版)内の線引きの言及

【引抜加工】より

…先細りのダイスに先づけした線を通し,その先端を引いて線径を減ずる加工法。線材の直径が小さいものの引抜きは伸線,線引きと呼ばれる。この加工法は鍛造に次いで古くから行われていた。…

【宅地開発】より

…前者は傾斜地または悪い土質の地域に限られた単なる災害防止のねらいしかなかったが,後者は,住宅地として必要な道路・広場など宅地開発に伴う居住環境整備のために必要な規制を行い,適用対象規模が1ha以上と比較的まとまった開発に限られたものの,ここにおいて一般の民間宅地開発における〈宅地〉と〈素地〉との区分を明確化し,〈宅地〉を〈都市〉の環境整備の一環として位置づけることになった。
[都市計画法による規制]
 このことをさらに発展させたのが都市計画法(1973)による〈線引き〉と〈開発許可制度〉である。この法律は,都市計画を定める対象となる都市計画区域を指定すること,その区域をさらに市街化区域(すでに市街地を形成している区域,およびおおむね10年以内に優先的に市街化を図るべき区域)と市街化調整区域(市街化を抑制する区域であり,原則として開発行為は20ha以上の計画的な優良な宅地開発に限られる)とに区分した。…

※「線引き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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