イエス・キリストが十字架につけられたゴルゴタの丘と彼の墓を保存するために,335年にコンスタンティヌス大帝によって建てられた世界最古の王立教会の一つ。現存の教会はだいたいにおいて十字軍時代に再建修復されたもの。イエスの墓は当時の典型的ユダヤ式岩窟墓で,復活聖堂(アナスタシス)と呼ばれるドームの真下に位置している。その周囲の壁に沿ってカタコンベ式墳墓が発見されており,アリマタヤのヨセフの墓と考えられている(《ルカによる福音書》23:50~53)。アナスタシスの東の殉教者聖堂(マルテュリオン)の地下に,コンスタンティヌス大帝の母ヘレナが十字架を発見したという場所(聖堂)が保存されている。なおイエスの墓の場所について一部の人は,現在ダマスクス門の北にあるいわゆる〈園の墓Garden Tomb〉(前7世紀ごろのもの)を真の墓と考えている。
執筆者:関谷 定夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ハラム・アッシャリーフを囲む東・南・西側の壁は,ヘロデ王時代以来のものと見られるが,その西壁(ハ・コテル・ハマーラウィー)には第一神殿の遺構があると考えられ,近代においてユダヤ教徒はこれを〈嘆きの壁〉として特に重要視するようになった。旧市街にはイエスの十字架の死を記念する聖墳墓教会(ゴルゴタの丘の跡にあるとも信じられている)をはじめ,キリスト教の聖地が多数存在する。イエスが十字架を担って歩んだという苦難の道〈ウィア・ドロロサVia Dolorosa〉はイスラム教徒地区を通り抜けている。…
※「聖墳墓教会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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