デジタル大辞泉
「自己資本比率」の意味・読み・例文・類語
じこしほん‐ひりつ【自己資本比率】
自己資本と他人資本を合計したものである総資本に占める、自己資本の割合。数値が高いほど企業の安定性が高いとされる。株主資本比率。
[補説]自己資本は返済義務のない資本であり、銀行の場合、不良債権などの損失を適切に処理し業務を健全に運営するために十分な自己資本が必要となる。バーゼル合意では、自己資本比率は、通常の自己資本比率とは異なり、リスクウエートを乗じた総資産を用いて算出され、国際業務を行う銀行に8パーセント以上の自己資本比率維持を求め、海外拠点をもたない、国内業務を行う銀行に対して4パーセント以上の自己資本比率維持を求めている。また、日本国内の証券会社については、金融庁が自己資本規制比率を定めている。この場合の自己資本比率は、固定化されていない自己資本の額(資本金や劣後ローンなどの自己資本から固定資産や自己株式を差し引いた額)をリスク相当額(市場リスク・取引先リスク・基礎的リスクの合計)で割って算出したもので、140パーセントを下回ると金融庁への届け出が必要となり、120パーセントを下回ると業務の方法の変更が命じられ、100パーセントを下回ると業務の全部または一部の停止を命じられる場合がある。
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自己資本比率
金融機関の貸し出しなどの資産に対する自己資本の比率。比率が高いほど財務の健全性が高いとされる。金融危機を防ぐため、国際的なルールとして営業に必要な最低基準が設定されている。現在の自己資本比率規制では、普通株や、社内に蓄えられた利益である内部留保に加え、破綻時の弁済順位が低い「劣後債」などによる調達資金を自己資本に算入することができる。
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自己資本比率
じこしほんひりつ
使用総資本に対する自己資本の割合。企業の財源は、資本主自身から提供される自己資本=純資産と、債権者など第三者から調達される他人資本=負債とからなる。企業の財務的安全性をみるとき、自己資本の構成比率が高いほうが、健全で耐久力が強いといえる。近年、日本の事業会社は自己資本比率が高まる傾向にあるのに対し、銀行のそれは低いままで、依然として欧米に差をつけられている。
バーゼル銀行監督委員会は1988年、金融システムへの信頼を高めるため、国際業務を行う銀行に対して8%以上の自己資本比率を維持するよう求めた(BIS規制。バーゼル合意、バーゼルⅠともいう。国内業務銀行は4%以上)。2004年には規制を強化した新BIS規制(バーゼルⅡ)が公表された。さらに、リーマン・ショックによる世界金融危機後の2010年には自己資本比率規制をより厳しくした新バーゼル合意(バーゼルⅢ)を公表した。
[原 正輝]
『佐藤隆文編著『バーゼルⅡと銀行監督――新しい自己資本比率規制』(2007・東洋経済新報社)』
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知恵蔵
「自己資本比率」の解説
自己資本比率
企業の総資本の中に占める自己資本の割合。企業の財政状態の健全性、長期的な安全性(支払能力)を示す指標の1つとして用いられている。総資本は自己資本と他人資本(借入金や支払手形、買掛金などの負債)とで構成され、自己資本の比率が高いことは、他人資本すなわち負債が少ないので、もしもの時にもそれだけ倒産の危険性が少ないことを意味している。状況によって異なるので、実際には特定できないが、自己資本は50%以上あると非常に望ましいといわれている。一般に投資機会が豊富でROI(投下資本利益率)が金利を上回る状況では、自己資本比率が低いほどROE(株主資本利益率)が高まる。これを財務レバレッジ効果と呼ぶ。高度成長期の日本企業の自己資本比率は約20%と低かったが、これは財務レバレッジ効果のためと考えられる。ただし財務安全性を考えて自己資本比率は漸増傾向にあり、2004年度は製造業平均で48.6%と50%に迫る高さとなっている。
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自己資本比率
自己資本と他人資本を合わせた使用総資産に対する自己資本の割合をいう。自己資本は純資産とも呼ばれ、企業のバランスシート上で資本金、法定準備金、任意積立金、当期未処分利益を加えたものを指す。上記の項目からわかるように、自己資本は他人資本とは異なって返済義務がなく、配当金支払いも金利支払いとは異なって、業績に応じて弾力的に行えるなど、企業経営にとって安定的かつ好都合な資金源である。したがって総資本に対する自己資本の割合が大きい、すなわち自己資本比率が高いほど企業経営の安全度が高いということになる。
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自己資本比率
じこしほんひりつ
net worth to total liabilities and net worth ratio
総資本に対する自己資本の割合をいう。自己資本÷総資本 (自己資本+他人資本) × 100で表わされ,比率が大きいほどその企業が財務的に安定していることを表わす。第2次世界大戦後における日本企業の自己資本比率は,ほぼ一貫して低下の傾向をたどり,高度成長期には全産業平均で 20%以下の水準にまで落ちている。これは日本の企業が戦後の経済成長のもとで他人資本の積極的な導入 (いわゆる借金経営) を行いながら発展をとげてきた結果である。
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自己資本比率
貸借対照表の資本の部の合計である自己資本(株主資本、純資産ともいう)の総資産(自己資本+他人資本)に対する割合を指す。自己資本利益率(ROE、株主資本利益率ともいう)は、株主資本金に対する収益率を指しており、企業が収益をを得るために投資した金額に対してどのくらいの収益が得られるかを示す指標として重要視されている。ROEとともに重要視される指標にはROAがある。
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自己資本比率
自己資本を総資本で割った比率が自己資本比率。企業の資本構成の安全性を見るための指標の一つである。自己資本比率=(自己資本/負債+自己資本)×100%この比率が高ければ高いほど、安全だといわれています。
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世界大百科事典(旧版)内の自己資本比率の言及
【財務分析】より
…つまり投下資本利益率が高く変動が大きい場合には,投資のリスクは大きい。それだけのリスクに耐えうるには,資本構成として高い自己資本比率が必要である。逆に投下資本利益率が低く安定している場合には,事業リスクは低いと判断され,借入れを行い自己資本比率を低くすることができる。…
※「自己資本比率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」