デジタル大辞泉
「芝全交」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
芝全交
しばぜんこう
(1750―1793)
江戸後期の戯作者(げさくしゃ)。本名山本藤十郎。別に司馬全交、司馬交などとも号した。江戸の商家の生まれで、のち水戸藩の大蔵流狂言師山本藤七の養子となり、その業を継いだ。江戸・芝西久保神谷町に住む多芸多才な通人として知られ、戯作を好み、1780年(安永9)黄表紙の処女作『時花兮鶸茶曽我(はやりやすひわちゃそが)』を出して以来、『大通仏買帳(だいつうぶつかいちょう)』『拝寿仁王参(おがみんすにおうさん)』『十四傾城腹之内(じゅうしけいせいはらのうち)』などおよそ40部の黄表紙を残し、山東京伝と並ぶ町人作者として活躍、恋川春町(こいかわはるまち)、朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)以後の代表的作者となった。典型的な江戸っ子で、江戸庶民の日常生活を好んで題材としたが、その作風は知的で陽気な都会性の滑稽(こっけい)味に富み、軽快な笑いと奇抜な発想や表現にその本領があった。代表作『大悲千禄本(だいひのせんろっぽん)』はわずか5丁(10ページ)の小冊ながら、もっとも黄表紙らしい作品として知られる。
[宇田敏彦]
『小池正胤・宇田敏彦他編『江戸の戯作絵本』全6冊(社会思想社・現代教養文庫)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
芝全交 (しばぜんこう)
生没年:1750-93(寛延3-寛政5)
江戸後期の黄表紙作者。本名山本藤十郎。江戸の富商吉川氏の子に生まれ,水戸藩能楽師の養子となってその業をつぐ。芝西久保神谷町に住む。黄表紙《大悲千禄本(だいひのせんろつぽん)》(1785)は奇警な着想と洒脱な表現によって名作といわれる。ほかに《通一声女暫(つうのひとこえおんなしばらく)》《大違(おおちがい)宝船》(以上1781),《茶歌舞妓茶目傘(ちやかぶきちやのめのからかさ)》(1787),《玉子角文字(たまごのかくもじ)》(1790)などが知られており,山東京伝と並ぶ作者であった。
執筆者:水野 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
芝全交
しばぜんこう
[生]寛延3(1750).6.19. 江戸
[没]寛政5(1793).5.27. 江戸
江戸時代後期の戯作者。本名,山本藤十郎。別号,司馬全交,司馬交。富裕な商家に生れたが,水戸藩の大蔵流狂言師山本藤七の養子となり,江戸,芝西久保神谷町に住んで,その業を継いだ。遊里や芝居に明るい通人で,交遊は広く,人から愛される性格だった。戯作者としての活躍は十数年だが,恋川春町,朋誠堂喜三二,山東京伝と並び称される黄表紙作者である。作風は才気にあふれる知的な滑稽を特徴とする。千手観音が手の損料貸しをする『大悲千禄本 (だいひのせんろっぽん) 』 (1785) は全交の代表作であるだけでなく,黄表紙中の最高傑作の一つである。ほかに『芝全交智恵程』 (87) ,『玉子の角文字』 (90) ,『十四傾城腹之内 (じゅうしけいせいはらのうち) 』 (93) などがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
芝全交(初代) しば-ぜんこう
1750-1793 江戸時代中期-後期の戯作(げさく)者。
寛延3年6月19日生まれ。江戸の商人吉川氏の子。水戸藩の狂言師山本藤七の養子となり,その業をつぐ。戯作をこのみ,「大悲千禄本(だいひのせんろっぽん)」「芝全交智恵之程(ちえのほど)」などの黄表紙を多数あらわし,山東京伝とならび称された。寛政5年5月27日死去。44歳。姓は山本。名は藤十郎。別号に司馬全交,司馬亭,全交坊など。
芝全交(2代) しば-ぜんこう
1775-1827 江戸時代後期の戯作(げさく)者。
安永4年生まれ。江戸馬喰(ばくろ)町で筆耕を業とし,十返舎一九の往来物などを手がける。のち合巻(ごうかん)作者となり,文政8年全交2代を名のった。文政10年5月2日死去。53歳。姓は藍庭(あいば)。名は林信。通称は晋兵衛。別号に晋米斎玉粒,藍亭など。作品に「化物世帯気質」「鏡山旧錦絵(こきょうのにしきえ)」など。
出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例
芝全交(初代) (しばぜんこう)
生年月日:1750年6月19日
江戸時代中期の黄表紙作者
1793年没
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の芝全交の言及
【大悲千禄本】より
…黄表紙。[芝全交](ぜんこう)作。北尾政演(まさのぶ)([山東京伝])画。…
※「芝全交」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」