衣服、書物、掛軸、諸道具などの湿気を除き、カビや虫害を防ぐために保管場所から取り出して風を通すことをいう。土用干し、夏干しともいい、夏の土用(立秋の前の18日間)に行う。古くは曝涼(ばくりょう)といい、現在でも正倉院の宝物の曝涼、各寺院の蔵物の曝涼などがそれぞれ行われる。衣服につく虫は梅雨期の湿気の多いとき活動し、またカビも生えやすいので、梅雨期を過ぎた夏の土用ころに、風を通して湿気を除去することが虫害やカビを防ぐこととなる。衣服の布地や色を損傷させないで長く保つためにも有用である。方法は、窓を開け放って風がよく入るようにし、風の向きに綱を張ってこれに衣服をかける。午前9時ごろから午後3時ごろまでがよい。衣服はちりを払い、正しく畳んで帖紙(じょうし)や鬱金(うこん)の風呂敷(ふろしき)に包み、防虫剤を入れて保管する。近年、土用干しは熱気を含むからよくないとして、空気の乾燥してくる秋の、晴天が2日以上続いた日のあとを選んで行うようになってきた。
[藤本やす]
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…7月7日を特別の祭日とする観念は,おそらく古い農耕儀礼に起源をもつのであろうが,文献資料にのこるものとしては後漢時代の崔寔(さいしよく)《四民月令》が最も古いものの一つである。そこには,この日に書物の虫干しをするほか,河鼓(かこ)(牽牛)と織女の二星が会合するのにあわせて,人々は願いごとをするという(牽牛・織女)。虫干しにされるのは衣服だともされ,衣服に祖霊が依り付くという古くからの信仰と考えあわせ,7月7日が元来,農耕儀礼に結びついた祖霊祭の日であったことが推定される。…
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