言論の自由(読み)ゲンロンノジユウ(英語表記)freedom of speech

デジタル大辞泉 「言論の自由」の意味・読み・例文・類語

げんろん‐の‐じゆう〔‐ジイウ〕【言論の自由】

個人が言論によって思想や意見を発表する自由日本国憲法第21条保障されている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「言論の自由」の解説

言論の自由

表現の自由の一つで憲法21条が保障している。個人が思想や意見を自由に発表できる最も基本的な自由権であり、民主主義根幹国民政治参加するには、自由な議論報道前提となる。権力言論統制すれば「国民の知る権利」にも応えられなくなり、民主主義の土台が崩れる。戦前戦時中治安維持法などで、政府の意に沿わない思想や言論が弾圧された。こうした歴史も踏まえ、日本新聞協会は倫理綱領で「言論・表現の自由を守り抜く」と宣言している。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

精選版 日本国語大辞典 「言論の自由」の意味・読み・例文・類語

げんろん【言論】 の 自由(じゆう)

  1. 個人が思想または意見を言語によって発表する自由。各国の近代的な憲法が基本的人権の一つとして保障した伝統的な自由権であり、日本国憲法もこれを保障している。
    1. [初出の実例]「新聞雑誌等には新聞紙条例讒謗律あって演説討論の為めには集会条例あり。決して之を称して言論の自由を占め得たる者と謂ふべからざる也」(出典:朝野新聞‐明治一五年(1882)一月一〇日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「言論の自由」の意味・わかりやすい解説

言論の自由
げんろんのじゆう
freedom of speech

表現の自由のうち,言語による表現行為の自由。また,言論が表現行為のなかでも最も象徴的な意味をもつことから,広く表現の自由一般の別称としても用いられる。(1) 日本国憲法上の言論の自由 日本国憲法は,「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する」と規定している(21条)。言論の自由は,ほかの自由,権利の保障を不断に監視し,かつ立憲民主主義の維持にとって不可欠である自由な意見の交換を形成するところから,その保全には格別の配慮が要求される(→事前抑制検閲)。(2) アメリカ合衆国憲法上の言論の自由 連邦に対してはアメリカ合衆国憲法修正第1条のなかで「信教・言論・出版・集会の自由,請願権」について明示的に保障されており,州に対しても 1925年のギトロウ対ニューヨーク州裁判 Gitlow v. New York によって適用されることが判示された。1791年の修正第1条の成立当初の「出版」pressとは,新聞出版を意味したが,今日ではすべてのマスメディアを含むと解されている。修正第1条の問題として論じられる範囲はきわめて広く,純粋な言論,表現ばかりでなく,ストライキにおけるピケッティング(ストライキの呼びかけ,ストライキ破りの防衛など),デモ(→示威運動),名誉毀損,政治的結社,避妊用具の使用(→受胎調節)などにも及ぶとされる。言論の自由は絶対無制約であるという説もあるが,通説は一定の制約を認めており,言論の自由の範囲を確定する判例理論が,第1次世界大戦直後から集積されてきた(→明白かつ現在の危険)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「言論の自由」の意味・わかりやすい解説

言論の自由
げんろんのじゆう
freedom of speech 英語
liberté d'opinion フランス語
Meinungsfreiheit ドイツ語

個人が内心にもっている思想や意見、主張などの精神作用を、音声や文字、あるいは画像などを通じて外部に発表する自由。大日本帝国憲法第29条の「言論著作印行集会及結社ノ自由」という文言、および日本国憲法第21条の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」という文言にみられるように、厳密にいえば、言論の自由は、出版の自由などとは区別され、肉声による表現活動の自由をさしている。ロンドンのハイド・パークにあるスピーカーズ・コーナーで、そこの台上から集まった群集に向かって演説を行うというのは、この自由の典型的な行使例である。しかし、今日では言論活動は、印刷・出版や放送などの効果的なコミュニケーション手段を利用してなされることが多いから、言論の自由は通常、表現の自由と同義に、あらゆる手段による思想表現および事実伝達の自由を意味するものと理解されている。歴史的にみれば、言論の自由は、事前検閲制度や国王不敬罪、政府侮辱罪、反逆罪などによる厳しい制約を受けてきたが、近代国家の諸憲法においては、基本的人権の一つとして保障されるようになっている。言論の自由は、内心の自由とは異なって本質的に社会的な性格をもつから、今日でも、他人の権利や自由との調整のために制約を受けることが多い。しかし、その制約にあたっては十分に慎重でなければならない。

[浜田純一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「言論の自由」の意味・わかりやすい解説

言論の自由【げんろんのじゆう】

単に語ることの自由のみならず,印刷・出版・放送・映画・絵画・演劇・音楽その他あらゆる手段を通して思想や意見を表現する自由をさす。本来いかなる支配権力によっても侵されてはならない基本的人権の一つとして現在各国とも憲法で保障している。この権利主張は歴史的には1644年のJ.ミルトンの《アレオパジティカ》が最初とされている。日本国憲法では言論,出版その他一切の〈表現の自由〉を保障している(憲法21条)。→アクセス権出版の自由
→関連項目ヘイトスピーチ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「言論の自由」の意味・わかりやすい解説

言論の自由 (げんろんのじゆう)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の言論の自由の言及

【表現の自由】より

…人が外部に向かってその思想,信条,意見,感情等を表現する自由。もともとは印刷物による出版の自由と口頭による言論の自由が主たる内容であったが,現在ではさまざまな表現手段によるものを含み,また事実を報道する自由も含めて考えられるようになった。
[表現の自由の意義]
 人間の精神的な活動は,他の人間とのコミュニケーションによってなりたつ。…

※「言論の自由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android