デジタル大辞泉 「財」の意味・読み・例文・類語
ざい【財】
2 経済学で、人間の欲望を満たし、人間が支配・処分することのできるもの。有り余るほどあって売買の対象とならないものを自由財、欲望に比して希少性をもち、その獲得になんらかの努力を必要とし、売買の対象となるものを経済財という。財貨。
3 「財界」「財界人」の略。「政官
[類語]資産・財産・恒産・私財・家財・身代・富・産・資財・財貨・貨財・私産・家産・
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
一般に,人々が消費や生産という経済活動を行うさいに用いられるものをいう。英語のgoods and services(財貨・サービス)という表現からわかるように,たんに有形な物質的なものだけでなく,サービスという無形なものも含めて考えるのが普通であるが,マルクス経済学では物質的なものに限定して考えることが多い。
経済学で財という言葉を用いるときには,経済財と自由財に分けられることがある。経済財というのは,人々が直接,間接に管理することができるようなもので,その供給が限定されていて,市場的交換の対象となるようなものをいう。これに対して自由財というのは,供給がつねに需要を上回っていて,市場的交換の対象となりえないようなものを指す。大気とか日光とかの自然財が自由財の例としてよく挙げられるが,現代においては経済活動の水準の高まりで,これらの自然財もまた希少なものとなり,自由財ではなくなりつつある。
財の分類としてさらに,私的財と公共財とに分けられることもある。私的財は,個々の経済主体に分属され,その所有権が明確にされるような財である。通常の経済財は私的な財である。これに対して公共財は,政府または公共機関によって供給され,市場を通じてではなく,社会的な基準(公正とか安定という)にしたがって配分されるようなものである。公共財は自由財と混同されることがあるが,基本的に性格の異なるものである。
財はまたその機能にしたがって,消費財と生産財とに分類されることがある。消費財は直接消費されるものである。生産財は生産過程に投入されて生産活動に用いられるものをすべて含むが,原材料や動力などと区別して設備,機械などを資本財と呼ぶこともある。消費財と生産財との分類は必ずしも排他的なものでなく,同じ財がときとしては消費財として,またときとしては生産財として用いられることも少なくない。消費財はさらに,生活の必要をみたすための必需財と,奢侈(しやし)的な性格をもつ奢侈財あるいは選択財とに分けられることもある。消費財のうち労働者の賃金によって主として需要されるものを賃金財と総称することもある。
執筆者:宇沢 弘文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…国際,国内を問わず輸送の対象となる物品を貨物goods,freight,cargoという。国際的にも国内的にも生産の分業化が進展するにつれて商品取引が拡大し,市場の地域的拡大も進む。…
…したがってそれは,第一義的には人と物の間の関係である。人間が経済活動を営む際には,生産を目的としたものであれ直接消費の目的であれ,外的物資に働きかけるが,この活動が現実に意味をもつためには,物資は主体にとって有用でかつ制御可能な財でなければならない。制御とは,(1)消費,生産といった財の変換,(2)交換のような財の入手・処分,の二つの意味をもつ。…
※「財」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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