貿易収支(読み)ボウエキシュウシ

デジタル大辞泉 「貿易収支」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐しゅうし〔‐シウシ〕【貿易収支】

一国の輸出輸入差額日本では「国際収支統計」の貿易収支(決済ベース)と、「貿易統計」の輸出入額から算出されるもの(通関ベース)がある。
[補説]財務省毎月発表する「貿易統計」は税関を通過した貨物を集計の対象とし、税関に提出された諸報告書を資料として作成される。輸出は運賃・保険料を含まないFOB価格、輸入は運賃・保険料を含むCIF価格で計上される。一方日本銀行と財務省が共同で毎月発表する「国際収支統計」の貿易収支では、一般商品のほかに、加工用財貨、船舶や航空機など動産の修理費、輸送手段用に調達した燃料備品、非貨幣用金なども取引の範囲に含まれる。貿易統計のデータを基礎資料として、IMFが定めたマニュアルに準拠して作成されるが、税関を通過したかどうかにかかわらず、所有権が移転した時点で取引を認識し、輸出入ともFOB価格で計上される。なお、昭和41年(1966)にIMF方式の国際収支統計が導入される以前は、日本銀行が毎月発表していた「外国為替統計」に基づいて外国為替の受取・支払の差額で貿易収支(為替ベース)が算出されていた。

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共同通信ニュース用語解説 「貿易収支」の解説

貿易収支

輸出から輸入を差し引いた金額で、輸出が輸入を上回れば貿易黒字、下回れば赤字となる。財務省が毎月公表する。かつては日本の強みである自動車輸出などで貿易黒字を確保していた。2011年3月の東日本大震災後は、停止した原発を代替する火力発電用の燃料輸入がかさみ、赤字の傾向になった。近年も円安ドル高などで輸入額が膨らみ、赤字基調となっている。

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精選版 日本国語大辞典 「貿易収支」の意味・読み・例文・類語

ぼうえき‐しゅうし‥シウシ【貿易収支】

  1. 〘 名詞 〙 一定期間における商品の輸出入取引によって生じる国際収支。貿易外収支とともに国際収支の経常勘定構成広義には貿易外収支を含めて用いられる。
    1. [初出の実例]「七一年の円切上げ後なお貿易収支の黒字が続く現実から」(出典:現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉IV )

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貿易収支」の意味・わかりやすい解説

貿易収支
ぼうえきしゅうし
balance of trade

国際収支のなかで財の輸出入の差額を示す勘定。輸出入の金額は大きいため,貿易収支の動きが全体としての経常収支の動きを大きく左右することになり,常に注目されている。通関統計の輸出入差額も貿易収支に対応するが,国際収支とはやや動きが異なる場合がある。国際収支統計は,輸出入ともFOB建てで金額を取るのに対して,通関統計の場合は輸出は FOB建て,輸入はCIF建てとしているからである。日本の貿易収支は,石油価格が大幅に上昇した 1974,79年には赤字となったが,基調的には常に黒字である。これは日本の輸出が高付加価値の工業製品で,世界的な成長テンポ以上に増加する一方,輸入はエネルギー,工業原材料が多く,大幅にはふえにくい傾向があることによる。

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世界大百科事典(旧版)内の貿易収支の言及

【経常収支】より

…対外経済取引には〈もの〉と〈かね〉の取引があるが,〈もの〉の受取り・支払の収支じりを示したもので,財貨の輸出入の収支じりを示す貿易収支balance of tradeとサービス・収益の受取り・支払の収支じりを示す貿易外収支balance of invisible tradeと移転収支balance of transfer account(後述)とを加えたもの。経常収支は外国,自国の所得水準や価格,為替レートなどに依存して決まるが,自国の景気がよいときにそれは悪化し,景気が悪いときに改善する傾向をもっている。…

【国際収支】より

…この場合,さまざまな対外経済取引のどこに線を引き,線の上にどんな項目を置き,線の下にどんな項目を置くかで,国際収支の赤字・黒字の大きさは異なってくる。各種の取引のうち,財貨の輸出入だけの収支じりを貿易収支と呼び,サービスおよび収益の受取り・支払の収支じりを貿易外収支と呼んでいる。経常勘定のところで線を引き貿易収支に貿易外収支,移転収支を加えたものが経常収支である。…

※「貿易収支」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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