公立中高一貫校が小学校の卒業予定者を対象に、入学者としての適性を調べる検査。受けることを「受検」と呼ぶ。低年齢での受験競争の過熱化を避けるため、公立中高一貫校では学力試験は課さないとされており、私立校の教科別試験の代わりとして実施。そのため教科横断型のものが多い。事実上、学力試験になっているという指摘もある。
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適性の有無や程度を判定するための検査。
[肥田野直]
適性とは、職業・学業・芸術など特定の活動を適切かつ有効に遂行する可能性を示す個人に備わった特質である。したがって、個々の活動ごとに適合関係にある特質が限定される。また、現時点で高い活動水準にあることを意味するのではなく、教育・訓練ののちに高い水準に到達することを予測する徴候である。適性には種々の定義が与えられているが、広義の適性は能力ばかりでなく、興味や性格(情緒安定性・協調性など)の人格特性など個人的資質のすべてを含むとされる。しかし、狭義の適性は能力面に限定され、学習によってすでに獲得された知識・技能など広義の学力とも区別される。なお、学問・芸術の分野では、高度の適性を才能ともいう。
[肥田野直]
次の四つの目的で利用される。
(1)能力・人格特性にふさわしい進路の選択とその指導
(2)適材の選抜と適切な教育・訓練の実施
(3)個性にあった適所への配置
(4)適職の開発と職務内容の再設計
[肥田野直]
適性を判定するには、多様な方法が用いられるが、伝統的に適性検査と称されているのは、狭義の適性観に基づいて作成された検査である。これを大別すると、職業適性検査、進学適性検査、音楽・美術適正検査、レディネス・テストreadiness testなどがある。職業興味検査や性格検査は適性の判定には重要な役割を果たすが、適性検査とはいわない。
[肥田野直]
特殊職業適性検査と一般職業適性検査に分けられる。前者は個別の職務に対する適性を検査するものであり、その内容としては、
(1)身体運動機能(握力、背筋力など)
(2)感覚・知覚機能(視力、色覚、聴力など)
(3)作業動作機能(反応速度、目と手の共応、指先の器用さなど)
(4)知的能力
などがある。標準化された検査には書記的適性検査、機械的理解力検査などがある。
一般職業適性検査は、多くの職業群に対してそれぞれの適性を判定するものである。その代表である一般職業適性テストバッテリーGeneral Aptitude Test Battery(略してGATB)はアメリカ労働省が作成したもので、その日本版は厚生労働省が標準化し職業安定所の就職相談に用いられている。15の下位検査から構成され、知的一般能力ほか9種類の性能因子が測定される。その性能の組合せによって、どの職業群に適しているかが判定される。また、弁別的適性検査Differential Aptitude Test(略してDAT)はアメリカのベネットG. K. Bennett(1904― )たちによって開発されたもので、その日本版は日本進路(職業)指導協会によって作成されている。この検査は、言語推理など8種類の下位検査から構成されている。
[肥田野直]
大学など高等教育への適性を判定する検査として、アメリカの大学入学試験委員会(CEEB)のもとで教育テストサービス(ETS)が実施している進学適性検査Scholastic Aptitude Test(略してSAT)がある。これは言語的検査と数学的検査の2種類の得点が求められる。わが国では1947年(昭和22)から8年間大学入学者選抜に用いられた進学適性検査や、1979年から6年間能力開発研究所によって実施された進学適性能力テストがある。なお、アメリカ大学テスト協会(ACT)が実施している検査は英語、数学、社会科、理科の4教科から構成され、基礎的内容を素材として推理判断する能力を測定しているので学力検査と進学適性検査の中間的性格をもつといえる。
外国人のための英語能力の検査として広く用いられているのは教育テストサービスが開発し、世界中で実施されているTOEFL(トーフル)Test of English as a Foreign LanguageとTOEIC(トーイック)Test of English for Internatinal Communicationである。前者は1963年から実施され、英語圏の大学の志願者に適用される。聴解、構文と文章表現、語彙(ごい)と読解の3部から構成されている。後者は1979年から実施され、ビジネスマンの実践的な英語力を測定するもので、聴解と読解の2部から構成されている。
学力検査は、教科ごとに所定の教育課程に従って指導された結果習得した知識・理解・思考の程度を測定するものである。これに対し進学適性検査は、特定の教科に限定されない広い学習成果を測定している。言語的知能検査は、日常生活のなかで形成される能力を測定しているが、文化による影響が強い。非言語的知能検査は、より普遍的な能力を測定している。このように学力検査から非言語的知能検査まで並べることができるが、それぞれの間に明確な境界線を引くことは困難である。
[肥田野直]
音楽については、アメリカのシーショアS. E. Seashore(1866―1949)の音楽才能検査があり、これは、音の高低・強弱・記憶・リズム・時間・音色の下位検査から構成されている。また、美術については、鑑賞力検査と創作力検査がある。
[肥田野直]
小学生が学習を始めるための身体的・心理的準備ができているか否か、すなわち学習の適期に達しているか否かを判定する検査である。読書や算数について、レディネス・テストがつくられている。また、中・高校生のための職業レディネス・テストもつくられている。
[肥田野直]
『永丘智郎他編『適性心理学』(1965・朝倉書店)』▽『広井甫他著『学校進路指導』(1978・誠信書房)』▽『大沢武志・芝祐順・二村英幸編『人事アセスメントハンドブック』(2000・金子書房)』
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…学校教育によって児童・生徒が学習し,獲得したものを測定しようとするテストで,アチーブメント・テストともいう。どれだけ学ぶことができるかその可能性を予測する適性検査aptitude testに対置される。その形式は,客観化されたペーパー・テストによるものが多く,20世紀初頭まで試験の際に用いられた口頭試問や論文体テストの恣意性と主観性を克服するため,アメリカにおいてE.L.ソーンダイクらによって開発されて以降急速に普及した。…
…ある特定の職業や学業を効果的に遂行するのに必要な能力や技能を,個人の特性の問題としてとらえる際に用いられ,その潜在的可能性や将来の成功度予測が,そこで論議される。たとえば入学試験は,広い意味での適性検査で,そこでは受験者の学力について入学後学業に耐えうるかどうかの可能性が測定される。またさまざまな適性検査(職業適性検査,進学適性検査,レディネス・テストなど)が開発され,個人の潜在的可能性の予測のために用いられている。…
※「適性検査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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