金融論(読み)きんゆうろん(その他表記)Monetary Economics; Theory of Finance

精選版 日本国語大辞典 「金融論」の意味・読み・例文・類語

きんゆう‐ろん【金融論】

  1. 〘 名詞 〙 金融一般、金融機関金融市場金融政策などに関する理論的・実証的研究を行なう学問
    1. [初出の実例]「一知半解(なまかじり)の金融論をする」(出典社会百面相(1902)〈内田魯庵〉青年実業家)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金融論」の意味・わかりやすい解説

金融論
きんゆうろん
Monetary Economics; Theory of Finance

貨幣経済学とファイナンス理論の総称古くは貨幣・銀行論とも呼ばれた貨幣経済学がマクロ経済における貨幣,金融仲介の役割を主として考えるのに対し,ファイナンス理論では個々主体の資金調達,資金運用の問題を分析の対象とすることが多い。
すなわち (1) 貨幣経済学は,現代の経済システムで銀行が資金仲介者として果たす役割およびそのあり方を考える。銀行の信用創造機能はどのようにマクロ経済に影響を与えるのか,またはそれを通貨当局が公定歩合政策や公開市場操作などのさまざまな政策手段を駆使して,どのように管理しているのかを分析する。それは必然的に貨幣価値の変動,すなわちインフレーションの問題に光をあてることが多い。 (2) ファイナンス理論ではハリー・マーコウィッツ,ウィリアム・F.シャープらを先駆とするポートフォリオ理論が,個々の投資家が合理的な投資を行なうための必要条件を明らかにしている。これを市場の問題に応用した資本資産価格モデル CAPM多く論文を生み出し,オプション理論の進歩も著しい。また企業金融の分野では,資金調達手段間の無差別性を指摘したモジリアーニ=ミラー理論(MM理論。→モジリアーニミラー)をはじめ多くの研究がなされた。

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