方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱などの鉱石の整流作用を利用して検波を行わせる、もっとも簡単な構造のAMラジオ受信機(AM=振幅変調amplitude modulation)。日本ではラジオ放送開始の1925年(大正14)から1930年代にかけて実用された。鉱石ラジオは、コイルと可変コンデンサーからなる同調回路で電波を捕捉(ほそく)し、鉱石に金属針または金属のスプリングを接触させ、その整流作用を利用して音声信号に復調し、イヤホンを働かせる。この受信機は安価であるが、機械的、電気的に不安定なこと、増幅作用をもたないため、スピーカーを駆動するほどの出力が得られないなどの理由から、真空管式ラジオにとってかわられた。さらにラジオ受信機は、半導体技術の発達により、他のエレクトロ機器とともにトランジスタ化、集積回路化へと進み、回路形式も直接検波方式からスーパーヘテロダイン方式にと発展し、今日に至っている。鉱石ラジオの欠点の一つである、鉱石と針の接触による不安定さは、この部分をゲルマニウムダイオードやショットキーバリアダイオードで置き換えれば解消される。ゲルマニウムダイオードを使った鉱石ラジオは、ゲルマラジオの名で広く使われた。鉱石ラジオは、放送電波の受信から音声信号が得られる過程を理解しやすいため、中学校における理科、職業の実習などで現在でも利用されており、趣味として楽しむ人も多い。また、電源いらずでラジオ放送を聞くことができるので、災害時に有用である。
[木村 敏・金木利之・吉川昭吉郎]
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